紙の保険証使用時の負担増へ 「マイナ保険証」普及に向け厚労省方針

 マイナンバーカードに保険証の機能を組み込んだ「マイナ保険証」の普及をさらに促進するため、厚労省が紙の保険証を医療機関で提示した場合の患者負担をさらに増やす方向で調整していることが分かった。

 マイナ保険証対応の医療機関で負担さらに増やす方向

 政府はデジタル化推進のため、2024年秋に紙の保険証を廃止し「マイナ保険証」に一本化することをすでに決めている。移行を促すため、現在、マイナ保険証を読み込むためのカードリーダー(オンライン資格確認システム)を導入している医療機関を受診した場合、マイナ保険証を提示すると6円、紙の保険証を提示すると12円、患者負担を発生させている。現在でも紙の保険証を使用した場合に割高に設定しているが、来春以降さらに上乗せする方向で調整に入った。

 厚労省は並行して医療機関に対し来年3月までのカードリーダー導入を義務としているが、保険医でつくる団体「保団連」がまとめた調査によると、すでにカードリーダーを導入した医療機関の4割で不具合が発生していることが分かっている(既報)。保団連では、紙の保険証を廃止した状況で読み込めないなどの不具合が発生すると、事実上保険医療ができないと見直しを求めている。医療機関側での対応が不安定な状況の中、見切り発車とも言える紙の保険証の切り捨て策には批判が出そうだ。

© 合同会社ソシオタンク