第23回グリーン購入大賞で東急不動産が大賞・環境大臣賞、地域社会に再エネ促進を積極展開

佐賀市は間伐材を利活用した「木になる紙」に取り組み、CO2を約390トン削減した(写真提供:佐賀市)

グリーン購入の普及・拡大に取り組む団体を表彰する「第23回グリーン購入大賞」の表彰式が12日、東京・日本橋で開催された。再生エネルギー発電事業を立ち上げ、自社やテナント施設、地域社会に再エネ促進を積極的に展開している点などが評価され、東急不動産が大賞・環境大臣賞(大企業部門)を受賞した。また大賞・経済産業大臣賞はLoop Japan、大賞・農林水産大臣賞は佐賀市が受賞。それぞれ循環型経済への取り組み、森林整備によるCO2排出量削減の取り組みが評価された。今回から持続可能な調達(消費と生産)を通じたSDGsの目標達成に寄与する取り組みに加え、サプライヤーとの連携を対象とした「サプライヤーエンゲージメント特別部門」が設けられ、同大賞は大和ハウス工業が受賞した。(松島香織)

グリーン購入ネットワーク(GPN)が主催するグリーン購入大賞は、表彰を通じて優秀事例を取り上げ、企業や地方自治体等で同様の取り組みを増やし、環境負荷の低減や循環型経済を促す狙いがある。第23回は再生エネルギー電力への取り組みや脱炭素を地域に促す自治体の取り組み、循環型経済を目指した廃プラスティック再利用など、さまざまな取り組みについて11社が受賞した。

再エネ利活用を積極的に事業化―東急不動産

大賞・環境大臣賞(大企業部門)

東急不動産は、「ReENE(リエネ)」という事業ブランドで、2018年から再エネ事業を展開。再エネによる発電所の建設・運営を行い、非化石電源(石炭や石油といった化石燃料を使用せずに発電する電源)によって発電された電気の環境配慮の価値を証書化した「トラッキング付きFIT非化石証書」を活用し、自社保有のオフィスビルや商業施設などのテナント企業が、通常の電気料金からコストアップせずに再エネを利用できるようにしている。また2022年中に主要施設で使用する電力を再エネに切り替える予定だ。

11月には、静岡県にある同社保有の発電所など4物件を、再エネ固定価格買取制度・FIT(Feed-in Tariff)から、再エネ発電事業者が卸市場などで売電した場合、その売電価格に一定のプレミアム(補助額)が上乗せされるFIP(Feed-in Premium)制度に切り替えており、再エネ利活用を積極的に行っている。

岡田正志社長は、「今後、風力発電や農地での利活用を推進し、環境先進企業として成長していきたい」と話した。現在水田の上に太陽光パネルを設置する実証実験を埼玉県で行っているという。規模を拡大し、数年かけて調査結果を精査し事業につなげていく。

プラスチック容器をリユース―Loop Japan

大賞・経済産業大臣賞(中小企業部門)

Loop Japanは、早くからリサイクルに取り組んできた米国のTerra Cycleが開発した循環型ショッピングプラットフォームを提供している。これまで使い捨てされていたプラスチック容器を、リユース可能なステンレスやガラスなどの容器にして食品や日用品を販売したり、使用した容器を洗浄して製品を再充填して販売をしている。イオンと提携し、関東を中心に85店舗で実施しているが、Eric Kawabata代表は「どこでも購入できどこでも返却できるよう、拠点を拡大したい」と意欲的だ。また同社では、容器のデザイン性も重視しており、商品の差別化を図るとともに、消費者への訴求にも取り組んでいる。

公共調達を通じた「木になる紙」の取り組みー佐賀市

大賞・農林水産大臣賞(行政・民間団体部門)

佐賀市は、2009年度から「国民が支える森林づくり運動」推進協議会と地域の間伐材を活用した紙製品を販売し、その販売額を森林整備に還元する「木になる紙」に取り組んできた。これらの活動により、2020年度までに約761万3000平方メートルの間伐が進み、森林整備によるCO2吸収量は約3460トンを達成した。

また同市自身も「木になる紙」を購入し消費をしており、公共調達を通じた間伐材の活用、カーボン・オフセットの推進事例として高く評価された。また地域の雇用創出や環境教育など、活性化につなげている。総務部契約監理課の山口和海課長は「今回で2回目の受賞となる。この取り組みが世の中に広まるようにしたい」と力を込めた。

サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを推進―大和ハウス工業

サプライヤーエンゲージメント特別部門(大企業部門)

大和ハウス工業は、2025年までに主要サプライヤーの90%以上とパリ協定に沿った温室効果ガス排出削減目標を共有し、2030年までに目標達成を目指している。説明会などでサプライヤーエンゲージメントを実施し、サプライヤーの温室効果ガス削減目標設定率をKPIに設定し取り組んでいる。河野宏・上席執行役員は、「サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを実現するには、サプライヤーとの協働は不可欠。今回の受賞をスタートして、さらなる活動を推進していきたい」と話した。

上記以外の受賞結果は次の通り。

【大賞】
・株式会社ジモティー(大企業部門)
・株式会社Nature Innovation Group(中小企業部門)
【優秀賞】
・株式会社KAWASAKI(中小企業部門)
・株式会社宮城衛生環境公社(中小企業部門)
・神戸市(行政・民間団体部門)
・鳥取県(行政・民間団体部門)
・加山興業株式会社(サプライヤーエンゲージメント特別部門)

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