あまり知られていないが、船舶分野に進出している自動車メーカーは少なくない。なかでも高級車ブランドが手がけたクルーザーは、まるでコンセプトカーのような洗練されたデザインのものばかり。ラグジュアリーな空間を有する自動車と船の共通点を知ると、ブランドの世界観をより一層理解できる。
#1 レクサス LY650
2019年9月に4億5000万円で発売されたブランド初のヨット「LY650」。モデル名はLが「Luxury(ラグジュアリー)」、Yは「Yacht(ヨット)」の頭文字から、650は船の大きさを表す65フィートに由来する。レクサスはこのモデルについて、「LS、LX、LCに続く第4のフラッグシップ」と位置付けており、ラグジュアリーブランドの象徴としている。
「LC500」のような美しい流線形のデザインは、レクサスのカーデザイナーの案を基に作り上げたという。船内は操船席や階層構造デッキのほかにベッドルームが3部屋あり、それぞれシャワールームを完備。ゴージャスなインテリアの床や机の脚など随所に、レクサスのエンブレムをイメージした「L」のデザインを施している。快適な居住空間と優れた乗り心地により、海上で上質なクルージングを楽しむことができる。
レクサスLY650 (現在は販売休止中)
- ボディサイズ | 全長 19.94 X 全幅 5.76 m
- エンジン | 直列6気筒 12.8 L ディーゼルターボ X 2基
- 燃料タンク容量 | 4012 L
#2 アストンマーティン AM37
2016年9月に発表されたアストンマーティンとして初のパワーボート「AM37」。「DB11」をはじめとした車の製作に携わる熟練工とデザイナーが研究開発に参加し、約2年の歳月をかけて誕生した。優れたデザイン性やブランドのコンセプトはそのままに、長年培ったノウハウと匠の技が詰まった洗練されたフォルムのボートに仕上げた。
木目が美しいデッキを引き立てるのは、艶やかなメタリックのマリンブルー。エクステリアは、曲線を描く1枚のガラス「ラップアラウンド・ウィンドスクリーン」が近未来感を感じさせる。また、船内の随所に炭素繊維素材を使用することでスポーツカーのスタイリングを反映。操船席のステアリングホイールやスロットルハンドルには高品質のレザーが使われている。
アストンマーティン AM37 車両本体価格:1億8000万円~
- ボディサイズ | 全長 11.3 m X 全幅 3.68 m
- エンジン | 370ps ディーゼルエンジン X 2基
- 燃料タンク容量 | 800 L
#3 ランボルギーニ Tecnomar for Lamborghini 63
ランボルギーニの設立年1963年を記念したモーターヨット「Tecnomar for Lamborghini 63(テクノマール フォー ランボルギーニ 63)」。ハイブリッドスーパーカー「シアン FKP 37」やEVコンセプトカー「テルツォ ミッレニオ」から着想を得たデザインで、流体力学に基づいたスポーティーかつ先鋭的なフォルムが特徴的。船体の素材に車と同様の炭素繊維を使用することで、軽量化を実現した。
V12エンジンを2基搭載しており、最高出力は4000 ps、最高速度は時速約111km(60ノット)という驚異的なエンジンスペックを誇る。2020年発表当時のCEO、ステファノ・ドメニカリ氏が「このヨットは、まさに水上のランボルギーニです」と語った自信作だ。圧倒的なパワーとスピードで、海上を走る楽しさをダイレクトに感じられるだろう。
ランボルギーニ Tecnomar for Lamborghini 63 車両本体価格:3億8400万円~
- ボディサイズ | 全長 19.5 X 全幅 5.42 m
- エンジン | V型12気筒エンジン X 2基
- 燃料タンク容量 | 3500 L
Edit/Text : Aya Okubo