【おもしろ小箱】No.237「ニホンノウサギ」

▲はねるニホンノウサギ

 2023年の干支は卯(兎)です。古くより親しまれているニホンノウサギは、山口県内に広く生息する身近な動物です。しかし、ノウサギを見る機会はほとんどありません。

 ノウサギは、体長約50センチ、体重約2.5キログラムの草食性動物で、丈の低い草や、葉を食べます。前歯である切歯は鋭く、食べた草にハサミで切ったような切り口が残っています。この食痕は、里山の登山道沿いなどで、普通にみることができます。

 ノウサギはキツネやタカなどに捕食されるため、身を隠すのは上手です。聴力がすぐれ、遠くから聞こえる足音に反応し、我々が通る前にいなくなります。主に夜間活動するため、それも会えない要因の一つかもしれません。

 ノウサギは1~2子を春から秋に出産し、生まれた子を茂みに隠し、授乳の時のみ、子のそばに来て世話をします。子は約1カ月で独立します。

山口県立山口博物館 学芸員動物担当 田中 浩

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