香焼工場 新造船エリアの譲渡完了 三菱から大島造船所に

大島造船所に新造船エリアの引き渡しが完了した香焼工場。右端は三菱重工が引き続き所有する修繕ドック(大島造船所提供)

 大島造船所(長崎県西海市)は27日、三菱重工業からの長崎造船所香焼工場(長崎市香焼町)の新造船エリアの引き渡しが全て完了したと発表した。来年度から年間数隻のバルクキャリアー(ばら積み貨物船)建造を予定している。
 新造船エリアは、同工場の造船関連エリアの4分の3に当たる96万平方メートル。両社は昨年3月、譲渡契約を締結。同12月には「100万トンドック」として知られる建造ドック(長さ990メートル、幅100メートル)や門型クレーン3基、岸壁施設2カ所を先に引き渡していた。
 27日までに残りの主要工場棟やクレーンなどの機械設備、敷地の譲渡も済ませた。インフラ設備の分離・共用など三菱側との整理調整に時間を要したという。
 大島造船所は香焼工場で、本社大島工場と同様、バルクキャリアーの建造に特化する方針。稼働開始当初は6万~3万トンクラスの中・小型を手がける。既に香焼工場に社員を派遣。機械設備の操作技術指導を三菱側から受けるなど、新年度からの稼働に向けて準備を進めている。
 年間建造数などの計画を現在策定中。人員体制は未定だが、本格稼働時には同社からの派遣や協力会社、下請け業者などを含め、技能職だけで500人程度を予定している。
 また、ゼロカーボン(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目指し、風力で推進力を補う硬翼帆(こうよくほ)搭載船や液化天然ガス(LNG)を主燃料とする次世代燃料船の建造も検討していく。
 一方、三菱は香焼工場の修繕ドック(長さ400メートル、幅100メートル)を引き続き所有。「当社が付加価値を高められる船舶と海洋エンジニアリングに経営資源を集中する」としている。

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