地場スーパーの倒産が急増 コロナ関連融資の返済でさらに多発か

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地場スーパーの倒産(負債1000万円以上)が急増している。東京商工リサーチ(東京都千代田区)によると2022年は1-11月に22件の倒産があり、2021年の年間件数(11件)の2倍に達している。

円安に伴う原材料費や光熱費、物流費などが上昇し経営を圧迫したのが要因で、現状のペースで推移すると「コロナ禍では2020年の25件を抜き、最多を更新する可能性が出てきた」としている。

新型コロナ関連融資(実質無利子、無担保融資)などが下支えとなり、これまで倒産が抑えられていたが、2023年は融資の返済が再開されることなどから、地場スーパーはもちろん、体力の弱い中小企業の倒産急増が懸念される。

負債最大は京都のツジトミ

倒産22件のうち負債総額が最も大きかったのは京都府のツジトミで、12億1400万円だった。次いで徳島県の美那山商事の11億円、栃木県のキッチンストアーの7億円の順だった。

地場スーパーの倒産は2016年以降、20~30件台で推移していたが、2021年は新型コロナ支援によって、過去20年間で最少の11件にとどまっていた。

これが2022年に一転。ロシアによるウクライナ侵攻や円安などの影響によるコストアップ要因が重なったのに加え、人件費の上昇やネットスーパーなどの通販事業者との競争が激化し、経営環境が一気に悪化。

2022年は前年同期の2.2倍のペースで倒産が発生している。原因別では、販売不振が16件と全体の7割(構成比72.7%)を占めた。

コロナ禍以前からコンビニやドラッグストア、ミニスーパーなどとの競争が激化していたのも倒産増加の背景にある。

年末、年度末に増えそう

東京商工リサーチが、新型コロナ関連の経営破たん(負債1000万円以上)状況を調べたところ、2022年は11月までに2039件となり、2021年の1718件を大きく上回っている。

同社によると、コロナ関連破たんは「資金需要期の年末、年度末にかけて増勢が続く可能性が高い」としている。地場スーパーには厳しい状況が続きそうだ。

文:M&A Online編集部

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