神奈川県の「筋電義手バンク」 寄付額1千万円超える 当事者の子どもの声紹介などで問い合わせ増加

筋肉の収縮時に発生する電流によって手指を動かすことができる筋電義手(神奈川県提供)

 筋肉を動かすことで発生する電流によって手指が動く「筋電義手」の普及を目指す神奈川県の「筋電義手バンク」に、初年度の目標としていた1千万円を超える寄付が集まった。義手が必要な子どもの声を紹介するなど周知に力を入れたことで問い合わせが増えたという。

 筋電義手は先天的に手を欠損している人のほか、病気や事故で腕を失った人向けの義手で、他の義手に比べて細かい動きができるのが特徴。使用するには数年間のリハビリ訓練が必要になるほか、訓練用の場合は購入に公費負担制度がなく、普及の壁となっている。

 県は神奈川リハビリテーション病院(厚木市七沢)に昨年度、リハビリ訓練拠点「未来筋電義手センター」を開設。150万円程度となる購入費用や定期的なメンテナンスの財源とするため、4月から同バンクで寄付の受け付けを始めた。

 当初は筋電義手自体の認知度が低く、伸び悩んだが、夏にテレビ番組で取り上げられたほか、広報紙「県のたより」で左手を失った女児の声を紹介したところ、問い合わせが増加。今月19日現在で個人や団体から計99件、約1437万円の寄付が集まった。

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