金融所得税見直しなく、福祉では応分の負担強調

 通常国会が23日開会。岸田文雄総理は施政方針演説で防衛力の抜本的強化、子ども・子育て政策、新しい資本主義など岸田政権の柱とする重点項目を力説した。特に、子ども・子育て政策に関して岸田総理は「わが国経済社会の持続性と包摂性を考えるうえで、最重要政策」とアピール。

 若者世代の負担増抑制、社会福祉での能力に応じた「応分の負担」を強調したが、資産所得倍増政策のため、高額所得者への所得税見直しや金融所得税見直しに手を付けられない岸田政権の応分の負担の整合性が問われることになりそうだ。

 岸田総理は子育て支援では高等教育の負担軽減に向けた出世払い型の奨学金制度の導入に取組むとした。そして当事者の声を優先させるとし、保護者・子育てサービスの現場従事者、若い世代から直接意見を「私自身が徹底的に伺うことから始める」とした。

 また「4月発足のこども家庭庁の下で必要とされる子ども・子育て政策を体系的に取りまとめつつ、6月の骨太方針までに将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示する」とした。

 岸田総理は「安心して子どもを産み、育てられる社会を創る」とし「これは全ての世代の課題だ」と振り「共に取組んでいこう」と訴えた。そして「若者世代の負担増の抑制、社会保障制度を支える人を増やし、能力に応じてみんなが支え合う持続的な社会保障制度の構築に取組む」と訴えた。ただ高齢者には一層厳しい政策になってきそうだ。

 高齢者にも能力に応じた「応分の負担を」と言いながら、資産所得倍増政策のため、高額所得者への所得税の見直しや金融所得税の見直しには手を付けられないという不可思議な「応分の負担」になりそうで、岸田総理の論理の整合性も国会では問われることになりそう。(編集担当:森高龍二)

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