人工中絶の飲み薬、薬事承認へ前進 パブリックコメントで国民から意見収集へ

 人工妊娠中絶を薬で行う「経口中絶薬」を薬事承認することについて、厚生労働省の専門部会は27日了承する方針を決めた。承認されれば国内初となるが、社会的反響が大きいと予想されるため、同省ではパブリックコメントを実施するなど慎重な手続きを踏む予定だ。

審議に1年余

 厚生労働省の専門部会は27日、一昨年12月に申請された経口中絶薬「メフィーゴパック」(英ラインファーマ製)について、承認を了承する方針でまとまった。

 この薬は2種類の薬を順番に服用することで妊娠の継続を止めるもの。妊娠後63日目までに服用することが条件で、1つ目の錠剤を服用して36時間から48時間後に2つ目の錠剤を服用する。国内の臨床試験では中絶を希望する妊婦の93%が24時間以内に中絶を終えられたという結果が出ている。腹痛などの副作用がおよそ6割の被験者でみられたが、ほとんどが軽症か中程度の症状だったという。

 国内ではこれまでこうした「中絶薬」は承認されていないが、海外ではすでに65ヵ国以上で認められている。通常、専門部会で了承されればそのまま正式に承認されるが、厚生労働省では国内初承認となるため、来月国民に直接意見を聞く「パブリックコメント」を行った上で、早ければ春に承認する見込み。

© 合同会社ソシオタンク