神奈川の湯河原に助産院誘致へ 出産できる病院などなく 町民有志、候補地の古民家を再生

新たにつくろうとしている助産院候補地の空き家

 出産できる産科病院などがない神奈川県湯河原町に安心して子どもを産める環境をつくろうと、町民有志が町内に助産院を誘致するプロジェクトを立ち上げ、奮闘している。これまでに助産師の協力を取り付け、誘致候補地の空き家を片付けるなど地道に取り組みを進めているが、開院に向けては資金繰りや病院との連携体制といった課題が山積している。同プロジェクトの中島真奈美代表(56)は「クリアすべき課題は多いが、母子らに寄り添い地域に根差すような助産院を誕生させたい」と意気込んでいる。

 湯河原町では昨年度80人(前年同期比10人増)、真鶴町では同20人(同3人増)の子どもが生まれているが、どちらの町内にも出産できる病院やクリニック、助産院は無い。近隣でも国際医療福祉大学熱海病院(静岡県熱海市)は2020年4月から産科を一時休止。県立足柄上病院(松田町松田惣領)では産科医不足の影響で17年度から医師による分娩(ぶんべん)を停止しており、22年度末に小田原市立病院(同市)へ産科機能を集約させる予定としている。

 「湯河原町に助産院を!プロジェクト」が始動したのは昨年4月。出産環境を整えようと湯河原、真鶴町民や助産師ら約10人で活動しており、助産院の誘致候補地に平屋の古民家(湯河原町宮下)を選定した。

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