逗子斜面崩落事故 女子生徒の遺族、危険放置と神奈川県を提訴へ「責任の所在を明らかに」

マンション敷地斜面が崩れ、生活道路を歩いていた女子生徒が約66トンもの土砂に巻き込まれた事故現場=2020年2月5日、逗子市池子

 神奈川県逗子市池子で2020年2月、マンション敷地斜面が崩落し、県立高校3年の女子生徒=当時(18)=が死亡した事故で、斜面に適切な調査を行わず危険なまま放置されたなどとして、遺族が近く県を相手に損害賠償を求めて横浜地裁に提訴することが30日分かった。事故から2月5日で3年。遺族側は「二度と同じ事故を起こさないため、(既に提訴した)斜面所有者や管理会社などだけでなく、県も含めて責任の所在を明らかにしたい」と訴えている。

 代理人弁護士などによると斜面はマンション住民らが所有し、高さは約16メートル。石積み補強されていない上部で約66トンの土砂が崩れ落ちた。この斜面は1968年ごろできたとみられ、2003年のマンション建設前の地質調査で風化による強度低下や「落石防護工など対策が望ましい」と指摘され、国の報告書でも「崩落箇所は表土が両脇斜面より薄く、風化防止作用が不十分だった」とされた。遺族側は「斜面は長年手付かずで放置された」とする。 

© 株式会社神奈川新聞社