ニンニク関連商品が人気に マスク生活浸透で臭い気にならず? 「チートデイはニンニク、がっつり食べて元気に」

ニンニク料理を楽しむ客。ニンニクメニューが定番化している=横浜市西区の「0秒レモンサワー仙台ホルモン焼肉酒場ときわ亭相鉄五番街店」

 新型コロナウイルス禍でニンニク関連商品が人気を集めている。背景にはマスク着用が浸透、臭いを気にせず食べられるとの消費者心理もあるという。ただ、折からの燃料費高騰などにより輸入ニンニクの価格が上昇。関連事業者は価格設定に頭を悩ませている。

 「今日は臭いを気にしないチートデイ(好きなものを自由に食べる日)。ニンニクをがっつり食べて、元気になりたい」。1月下旬、GOSSO(東京都)が展開する焼き肉チェーン店「0(ゼロ)秒レモンサワー仙台ホルモン焼肉酒場ときわ亭相鉄五番街店」(横浜市西区)。友人と訪れた町田市在住の20代男性は、笑顔でそう話した。

 来店客の間で定着しているのが、肉にニンニクやバターなどを合わせた「ガリバタ」焼き肉だ。手軽にスタミナを摂取できるとして女性からの注文も多いという。昨年12月には、期間限定だった「ガリバタ中落ちカルビ」などを定番メニュー化した。

 「ニンニクは焼き肉の下味としても重要。店の味を出すために欠かせない食材」と同店の小野祐樹店長。店では1日当たり2~3キロのニンニクを消費しているという。

 ニンニクを使って家庭で料理する人も増えている。

 クックパッド(同)によると、新型コロナ感染拡大が始まった2020年、アヒージョやペペロンチーノなどニンニクを含む料理のレシピ投稿が、前年比約1.5%増えた。

 増加の要因について、担当者は「マスク生活が日常化し、臭いを気にせずニンニクが食べられるとの理由では」と分析。コロナ禍で海外へ行きにくい状況の中、家庭で本格的な韓国料理などに挑戦する人も多いとし、「ニンニクを1個購入したものの、使い切れずに余ったとして、使い道を検索する人もいた」と話す。

 ノリのつくだ煮「ごはんですよ」などを販売する桃屋(東京都)では、丁寧に刻んだニンニクをなたね油に包んだ「きざみにんにく」の22年の売上高がコロナ禍前の19年と比べ206.9%増と、大幅な伸びを示した。

 なぜ、需要が拡大したのか。担当者は、コロナ禍での日常の変化が背景にあると指摘。「テレワークの浸透などによって家にいる時間が長くなり、ニンニクの臭いを気にせず楽しめる環境が整った」と話す。

 同社既存製品の約4分の1にニンニクが含まれており、「当社にとってニンニクは大切な食材。これからも家庭などでたくさん使ってほしい」と力を込めた。

 一方で、昨今の物価高が影を落としている。

 ニンニクやショウガなどの輸入・製造・加工を行う清水物産(千葉県)は、燃料費高騰の打撃を受けている。中国産ニンニクなどのコンテナ輸送費上昇で、輸入時の取引価格が前年と比べ約1.5倍上がった。消費者の買い控えの恐れもあるため、値上げしにくいのが実情で、コスト上昇分を各業者が負担しているケースも少なくないという。

 ただ、22年は天候にも恵まれ、国内・海外とも豊作だったといい、「スーパーの店頭に並ぶ頻度が増えてきた」と今後の需要拡大に期待を寄せている。

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