糸魚川「バタバタ茶」海外へ フランス日本茶店で販売 バイヤーが風習体験

 糸魚川伝統のたて茶「バタバタ茶」がフランスに渡った。静岡県菊川市の「丸松製茶場」が、カワラケツメイなど各種材料をブレンドして製造したオリジナルの「バタバタ茶」がパリ市街など各店舗で販売されている。
 フランスで日本茶を販売する店「PALAIS DES THES(パリデテ)」が煎茶や抹茶など以外に日本の珍しいお茶を探し求めていたところ、同製茶場が各地に伝わるローカル茶を調べた中で糸魚川の「バタバタ茶」を知った。煮出した茶に少量の塩を加えた独特の味。スープのような風味がフランス人の口に合うという。

バイヤーのレオさん(左から2人目)が訪れ、糸魚川に伝わる「バタバタ茶」を体験した(石田千枝子さん宅)

 同店のインターナショナルバイヤー、LEO PERRIN(レオ ペホン)さん(24)が1月30日、同製茶場のマーケティング責任者、漆畑進さん(34)と糸魚川市を訪れた。令和元年まで25年にわたり普及伝承活動に励んできた有志団体「バタバタ茶の会」会長の石田千枝子さん(77)宅で、いろりを囲んでお茶と手作りのお茶請けを味わいながら昔ながらの風習を体験した。
 レオさんは、石田さんに習って2本一組にした専用の「夫婦茶筅(めおとちゃせん)」を使って泡を立てるたて方にも挑戦。「難しい。糸魚川で体験、勉強したことを(フランスに)持ち帰ってスタッフに教え、お客さまにも本物のカルチャーを伝えたい」と話した。
 石田さんは「バタバタ茶は人と人とをつなぐ魅力がある」と紹介。「会を閉じて絶えてしまうのは切ない。海外とは思いも寄らなかったけど、どこかで続いていったらうれしい」と喜んだ。
 今後の支援協力などに同市に本店のあるお茶の総合メーカー「正香園」と市文化振興課職員も同席し、糸魚川の文化継承やPRに期待を寄せた。

フランスで日本茶を販売する店「PALAIS DES THES(パリデテ)」ホームページ

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