逗子斜面崩落 女子生徒遺族が神奈川県を提訴 「必要な調査せず危険なまま放置」

会見で「訴訟で責任を明らかにし、二度と同じことが起きないことを願う」と語った女子生徒の父親=横浜市中区

 神奈川県逗子市池子で2020年2月、マンション敷地斜面が崩落し、県立高校3年の女子生徒=当時(18)=が死亡した事故で、県が十分な調査をせず危険なまま斜面を放置したなどとして、生徒の遺族が、県を相手に損害賠償を求めて横浜地裁に提訴した。生徒の父親(56)と代理人弁護士が3日会見し明らかにした。提訴は2日付。

 訴状などによると、遺族側は、県は事故直前の20年1月20日までに、現場を災害リスクの高い特別警戒区域に指定するか2回調査したのに、風化が進んでいた斜面で危険を探知せず、法が求める水準の調査を怠ったと指摘。事故前日にマンション管理会社側から「見てもらいたいものがある」などと連絡を受けたのに、現場状況を確認せず、住民らに危険を知らせるなど事故を防ぐために必要な対応を怠った、としている。

 父親は会見で「娘の命に県は誠実に向き合って欲しい」と話した。県は「訴状が届いておらずコメントできない」とした。

 事故は20年2月5日午前8時ごろ発生。高さ約16メートルの斜面から約66トンの土砂が崩れ、生徒が死亡した。遺族側は21年、斜面を所有する住民や管理会社側に損害賠償を求めて提訴している。

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