逗子斜面崩落3年 地元学生「ここで起きたことを忘れず、伝え続けていく」

「防げる被害をなくしたい」との思いを胸に、再発防止にできることを話し合う学生たち=1月、逗子市逗子

 通学や通勤で多くの市民が使う歩道で、女子高生が土砂に巻き込まれ亡くなった神奈川県逗子市の事故から3年。地元の学生団体「3.11つなぐっぺし」は同じような被害を防ぎたいと、身近な斜面の危険調査や発信を続けてきた。今月からは手作りの献花台を新設。「献花台は人の気持ちを取っておける。ここで起きたことを忘れず伝え続けていく」。同世代の命を思い、決意を新たにしている。

 木製の献花台は幅50センチ、高さ30センチ。市道を管理する市と相談した上で、4日に設置した。生徒の命日の5日には早速、色とりどりの花束で埋め尽くされた。

 この間、現場には花やジュースなどが絶えず、事故直後から近隣住民が献花台を置き管理してきた。しかし、老朽化が進み一度撤去することになり、再発防止の活動を続けてきた「つなぐっぺし」が引き継ぐことに。製作した一人で団体代表の田島太地さん(17)は「現場の斜面は工事が終わったが、この事故は絶対忘れてはいけない」との思いを込めた。

 「つなぐっぺし」は逗子市や葉山町の中高生らが2013年に発足。東日本大震災などの被災地に欠かさず足を運び、現地の今を伝え地域防災につなげるライブの企画などを続ける。亡くなった女子高生は、小学生の頃、別の東日本大震災支援活動に参加。中には一緒にボランティアに取り組んだメンバーもいる。日頃学生が多く使う道で、大切な命が失われた事故の衝撃は、計り知れなかった。

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