アルファロメオ「トナーレ」が日本上陸 試乗前に押さえるべき4つのポイント

T型フォードの量産に成功したことで“自動車王”の異名をとったヘンリー・フォードは「街でアルファロメオを見かけると、必ず帽子を取って挨拶をする」という言葉を残した。いつの時代も憧れのブランドであり続けてきたアルファロメオが2月18日、新型SUV「トナーレ」を日本市場に投入する。トナーレはヨーロッパでの発表後、あっという間に2万台を超える受注があったヒット作。いまから仕上がり具合が楽しみだが、試乗を前にチェックポイントを整理しておきたい。

まず一つ目はサイズ感。トナーレはCセグメントというクラスに分類され、全長4530mm、全幅1835mmというディメンションは、日本の道路環境で使い勝手が良さそうだ。高級車やレーシングマシンで名を上げたアルファロメオは、伝統的に小回りが利かないという弱点があったけれど、スペックを見ると最小回転半径は5.8mと悪くない。後席や荷室の広さ、使い勝手についてはスペックや写真だけでは判断できないので、実際に自分の目で確認したい。

二つ目は、パワートレーン。日本仕様は、新開発1.5リッター・直列4気筒ターボエンジンを軸にしたマイルドハイブリッドだ。興味深いのは、マイルドハイブリッドでありながら7段デュアルクラッチ式トランスミッションに内蔵された48Vの駆動モーターと、BSG(ベルト・スターター・ジェネレーター)の2つのモーターを備えている点。ヨーロッパのマイルドハイブリッドはBSGのみのケースが大半だが、2つを備える目的と効果は気になる。

また、資料にある「低速域ならEV走行も可能」とはどういうものなのか。もちろんアルファロメオのエンブレムを付けるのだから、パワートレーンのフィーリングにはパッションあふれるキャラクターが求められるわけで、燃費も含めて確かめたい。 三つ目は、ハンドリング。トナーレの兄貴分にあたる「ステルヴィオ」は“背の高いスポーツカー”と形容されるほど、切れ味鋭いハンドリングが売りだった。ステルヴィオより一回りコンパクトなトナーレはさらにキビキビと走るのか、あるいは乗用車的な味付けを選んでいるのか。歴代モデルはシャープなハンドリングと快適な乗り心地を両立している。市街地でもワインディングロードでも、みんなが笑顔になれるようなシャシーのセッティングをトナーレにも期待したい。

四つ目は、質感を含めたデザイン。冒頭に記したように、アルファロメオは高性能かつ高級であることで、世界中のクルマ好きから尊敬を集めるブランドだ。一方で1980〜90年代には、“売れセン”に走って安っぽいモデルを連発し、評価を下げた時期もある。そんな黒歴史もあるだけに、コンパクトSUVでありながらブランドの品格を維持していることを、ファンの一人としては願いたい。

Cセグメントというカテゴリーは、フォルクスワーゲン「ティグアン」、BMW 「X1」、ボルボ「XC40」などの競合モデルがひしめく激戦区。まさに群雄割拠で、ここで存在感を発揮するためには高級で、エレガントで、スポーティというアルファロメオらしさを表現する必要がある。仮にトナーレがこの3つを備えたコンパクトSUVだとすると、実にユニークな存在になるはずだ。

アルファロメオ トナーレ エディツィオーネ スペチアーレ(日本導入記念モデル) 車両本体価格: 839万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 4530 X 全幅 1835 X 全高 1600 mm
  • ホイールベース | 2635 mm
  • 車両重量 | 1630 kg
  • エンジン | 直列4気筒 DOHC ターボ
  • 排気量 | 1468 cc
  • 変速機 | 7速 AT
  • 最高出力 | 160 ps(117 kW) / 5750 rpm
  • 最大トルク | 240 N・m / 1700 rpm

Text : Takeshi Sato

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