【東日本大震災12年】若い世代に防災の輪広げよう オンラインで「むすび塾」

ワークショップの最後に「より多くの人に“防災”を」と誓った小林美月さん=11日、横浜市中区の神奈川新聞社

 3月11日で12年となる東日本大震災の教訓に学ぶ防災ワークショップ「むすび塾」が11日、オンラインで開かれた。全国各地で災害伝承や防災に取り組む10~20代の11人が日々の活動や悩みを共有。神奈川からは大学2年小林美月さん(20)=横浜市都筑区=が参加し、防災の輪を若い世代に広げていくための工夫と課題を語り合った。

 東日本大震災の津波被災地からは、宮城県気仙沼市で語り部を務める高等技術専門学校2年の熊谷樹さん(20)が震災遺構の同県気仙沼向洋高校旧校舎から報告した。津波は校舎の4階床上まで来襲。3階には押し流されてきた車が残り、床には教科書などが散乱していた。

 当時小学2年だった熊谷さんは友人宅から海沿いの自宅に戻る途中で家族と合流し、避難所へ向かった経験を振り返り、「自ら危険な方向に向かっていた。1人で家にいたら津波で流されていた」とかみしめた。「想定外という言葉はない。油断せず高い所に逃げることが重要」と強調した。

 小林さんは岩手県釜石市で継承に取り組む高校生グループを3月に横浜へ招くプロジェクトを紹介した。釜石を訪ねて被災者に体験を聞き、高校生と交流を重ねる中で防災への意識が芽生えたとし、「同年代にも防災を自分事としてもらう取り組みを続けていきたい」と今後を見据えた。

© 株式会社神奈川新聞社