北海道の冬が変わる!?除雪DXで「ドカ雪」にも負けない!?

今回の特集は、北海道の冬に欠かせない「除雪」。多くの人を悩ませる除雪を、テクノロジーで解決しようという動きを取材した。

【ことしの雪の状況は?】

気象予報士の井坂綾さんに、ことしの雪の状況を聞いた。

北海道各地の雪は、全道的には「平年並み」。函館・苫小牧など太平洋側西部では平年より多いとのこと。札幌では、定山渓で大雪である状況を除いてはそれほど雪は多くはない。ただ、気温が低いことから積雪量は平年より多いのだという。

【去年のドカ雪経て…札幌市の対策は】

札幌市の雪対策予算は年々増えている。去年は大雪で実績値が予算を大きく上回った。

札幌市がこの冬導入したのが、「フェーズ」。積雪が50センチを超える予報のときに幹線道路の排雪を前倒しする「フェーズ1」。その際は道路わきに雪を残さず、全て排雪する。

「フェーズ2・3」は、パート―シップ除雪が遅れるほどの大雪の場合に、排雪作業を強化したり緊急的に実施したりするものだ。

さらに、新たに取り組もうとしているのが「雪堆積場選定システム」。現在は各区の担当者がそれぞれの所管の堆積場の中からダンプの行き先を選んでいる。このシムテムは、全市的な視点でダンプの行き先を決め、運搬の全体の距離を減らそうとしている。

市はこの冬、雪堆積場を75から80カ所に増やした。市街地の開発が進む中、どうしても大きな堆積場は郊外に。そうした大きな堆積場を全市一括管理でいかに効率良く運用できるか。新システムは来年度の本格稼働を目指している。

【岩見沢市 毎年の大雪にDXで立ち向かう】

岩見沢で今月3日までに降った雪はなんと4m71cm。市民に話を聞くと、「毎年のことで慣れている」といった声が多かった。

市役所のさまざまな部署から精鋭が集まり、冬場だけ設置される「除排雪対策本部」。すでに市内の主要道路の除雪を一度終え、今は2周目だという。

ブルドーザーの助手席に乗せてもらうと、目の前には「タブレット」が。「消火栓が近くにあります」とアナウンスが流れた。

タブレットには市が開発したアプリが搭載されている。地図上に落とし込んだ障害物の情報と人工衛星からの信号をもとに割り出した正確な位置情報を合わせることで障害物を避けることができる。

除雪作業の情報はリアルタイムでクラウドに送信され、市役所内で共有し管理できる。データを利用することで作業日報作成の事務仕事も軽減される。市民の要望にスムーズに対応できるようになった。

【高速道路では自動化進む】

高速道路の除雪では「自動化」がすすめられている。高速道路の除雪はまず、トラックが雪を左側に寄せ、そのあとにロータリー除雪車で路外に雪を飛ばす。この「ロータリー」を自動化。

準天頂衛星システム「みちびき」の信号と高精度の地図情報を合わせて自立走行させる。その精度は、なんと誤差数センチ。

さらに雪を飛ばす作業も自動に。従来は助手席のオペレーターが雪を飛ばすシューターの角度や高さを調節するのだが、スノーポールや標識などを避け高速道路の下に飛ばしてはいけない場所も。この作業、実はかなりの熟練の技が必要。障害物を地図上に落とし込むことで自動化を実現した。ドライバーやオペレーターの不足を補い、吹雪の時でも安全に作業できるようになるという。

【小型除雪機に“人検出システム”】

歩道を除雪する小型除雪機。必ず誘導員がついて安全を確認する義務がある。

この誘導員の作業を軽減しようと開発されたのが「人検出アラートシステム」。歩道除雪機用のサーモカメラなどが人を検知。サーモカメラが50メートル先までの歩行者を感知。除雪車の上についている「3Dライダー」が距離を測定する。10m以内に近づくと運転席のモニターに赤く表示される。

北大工学研究院の江丸准教授は「3年後くらいをめどに実際に除雪機に搭載し、社会で働くようにしたと考えている」と話す。札幌市内だけでも200台の小型除雪機があるという。雪の中でも夜間でも有効なこのシステム。頼りになりそうだ。

【MC杉村太蔵さんの一言】

MCの杉村太蔵さんは、素人の考えと前置きした上で「農機具と除雪機のハイブリッドとなる機械を開発してほしい」と話した。春~秋に動く農機具と冬にしか稼働しない除雪機が1台で済めば、かなり設備投資が削減できる。北海道民の頭を悩ませる雪。これからのテクノロジーに期待したい。
(2023年2月18日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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