【創薬市場】年平均10%以上で成長、2026年に1361億米ドルに|世界のレポートから

英国、米国、インドに50人以上の専門家を抱え、世界的なリサーチネットワークを有するThe Business Research Company発行のレポート「創薬の世界市場レポート2022年」が、創薬の創薬市場に関する最新の知見を発表、今後も10%以上で成長し、26年には世界の創薬市場は1,361億米ドルに達すると予測しています。

新しい医薬品のもとをつくる「創薬市場」

創薬とは、これまでにない新しい新薬を研究開発をすることです。新薬の「もと」となる「シーズ」を作り出している市場が創薬市場です。新薬は、治療薬となる可能性のある生物学的に活性な化合物を同定し、開発、承認されて患者さんに投与されます。この新しい病気や既存の病気、以前は治らなかった病気などを治療するための治療薬となるための臨床薬剤を発見することが「創薬」です。

創薬から、新薬として治療に使われるまでにはいくつもの工程がありますが、創薬市場には、標的候補をみつけ、作用をスクリーニングして医薬品のもととなる候補物質を選定する「プロセス」と「技術」が用いられています。

創薬段階を含めると実際に、創薬のもとが実際の新薬として承認されるまでの費用は膨大なうえ、確率は非常に低く1万分の1というデータもあります。そのため、必ずしも製薬会社が自社で創薬からすべての工程を経て新薬を生み出すわけではなく、創薬のアウトソーシングといった「水平分業」も進んでます。

創薬は、新しい医薬品の基礎となります。欧米では、これらの「シーズ」を生み出したアカデミアや研究機関からバイオベンチャーが生まれる事例も多数見られます。日本でも、創薬力を高めるために、国(AMED)が、大学やアカデミア、創薬ベンチャーへ補助金を出す「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」の取り組みもあります。

創薬市場、モダリティの多様性と新しいテクノロジー

創薬市場では、新たな技術も取り入られています。創薬市場に参入する企業には、創薬にかかる時間を短縮するAIや画像技術などを活用して企業もいます。また、イメージング技術では、薬に反応して生体内で発生する非侵襲的な生物学的活動を「視覚化」するなど、特徴付け、定量化するなどし、効率よくシードを発見するためにあらたな技術の進歩をもって参入する企業もいます。

このように、新たな技術などをもって新規参入する企業も見られます。

創薬には様々な技術が用いられます。今回の市場予測を発表したレポートでは「分光法」「コンビナトリアルケミストリー」「バイオチップ」「薬理ゲノミクス」「バイオインフォマティクス」「メタボロミクス」「ナノテクノロジー」などに注目をしています。

標的候補のスクリーニング方法も様々あります。バイオテクノロジー技術やコンビナトリアル化学、ロボットを活用する高効率スクリーニング、そしてAIを用いたスクリーニングなどが用いられます。

創薬の特徴といてモダリティの種類があげられます。創薬市場、主に低分子化合物と高分子化合物の2種類がありますが、モダリティの多様化が進んでいます。

それは、iPS 細胞の発見、タンパク質間相互作用阻害剤の実用化、核酸化学や細胞工学の進歩などにより、創薬のあり方も大きく変化したことが理由としてあります。抗体医薬や抗体薬物複合体 (ADC)、中分子、標的タンパク質分解誘導薬、遺伝子治療薬、細胞医薬、核酸ワクチンなどが挙げられますが、今後も創薬モダリティの多様化は進むと期待されます

2026 年には1,361億ドルに達すると予測される創薬市場規模

The Business Research Company発行の最新発行のレポート「創薬の世界市場レポート2022年」によると創薬の市場規模は、2021 年の 734 億 1000 万ドルから 2022 年には 851 億 5000 万ドルに成長したと分析しています。さらに、同社の分析によると創薬市場は、今後も年平均12.44%で成長を続け、2026 年には1,361億ドルに達すると予想されています。

なお、ロシアとウクライナの戦争は、少なくとも短期的には、 COVID-19パンデミックから世界経済が回復する可能性を妨げました。両国間の戦争は、複数の国に対する経済制裁、商品価格の急騰、サプライ チェーンの混乱を引き起こし、世界中の多くの市場に影響を与えています。

各国で、医療費の増大に多くのGDPを費していますが、新たな治療薬への需要は今後も高いことや、創薬力の強化は、各国の製薬業界の成長の源泉となることもあり、日本をはじめ多くの国が創薬市場を支える政策を取るものと考えられ、創薬市場は今後も成長を続けると考えられます。

まとめ

The Business Research Companyが発行の最新発行のレポートから、現在と今後の創薬市場に関して解説を致しました。

日本の製薬市場全体での課題の1つに、日本の製薬市場の縮小化からくる日本市場での新薬の減少や研究開発の空洞化があげられますが、これらの課題克服のためにも創薬力の強化は大事です。そのための大学やベンチャーの支援も「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」として進められています。

一方で、新型コロナワクチンのmRNAワクチン(核酸ワクチン)にも見られるように、将来の新薬候補は低分子以外のモダリティに更に注目されることと思われます。

市場が今後も成長する創薬市場ではありますが、標的療法などピンポイントで治療効果が求められる時代に、最も効果が示される新薬に繋がる創薬への要望はいままで以上に強くなり、市場内での、競争も激しくなるものと考えられます。

出典の市場調査レポート

今回取り上げました情報は、The Business Research Company社の最新レポート「創薬の世界市場レポート2022年:ウクライナ・ロシア戦争の影響」から日本における同社の代理店であるグローバルインフォメーション社を通じて提供いただきました。レポートの資料やサンプルも承りますので、ご希望の方は本ページ内、問い合わせフォームからお知らせください。

タイトル:創薬の世界市場レポート2022年:ウクライナ・ロシア戦争の影響

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