【遠隔医療】米国で年平均40%以上で急拡大、2028年には3000億ドル規模へ|世界のレポートから

技術、化学薬品、マテリアル、およびエネルギーを含む広範な業界にわたって、調査レポートを発行するGrand View Research, Inc. (グランドビューリサーチ) 社が発表した最新の報告書によると、米国における遠隔医療の市場規模は今後も高い成長率で拡大する事が予想されています。

遠隔医療市場、40%以上の年成長で2028年には3000臆ドルを突破へ

同社の最新の調査報告書「遠隔医療の市場規模・市場シェア・市場動向の分析 (2022-2028年)」によると、グローバルでの遠隔医療の市場規模は、2022年から2028年にかけてCAGR44.4%で急拡大し、2028年には3000億ドルを超えると予測しています。

これは、インターネット網の普及とスマートフォンの革新により、グローバルな接続性が向上したことで、ケア提供のギャップに対処し、より便利に遠隔医療サービスが利用できるようになったことに加え、COVID-19のパンデミック、それに関連する規制により、医療サービスの提供が妨げられていることや、従来の方法からバーチャルなケア戦略への移行が進んでおり、遠隔医療サービスの需要は過去1年間で劇的に増加しています。

また、スマートフォンやタブレット端末を利用して健康状態を把握し、慢性疾患の増加を抑制したいというニーズが高まっていることも、市場の成長を後押ししています。

市場の急拡大を加速させる要因

グランドビューリサーチ社は、今後も急拡大をすると予測される米国における遠隔医療市場は以下の要因が牽引するとレポートでは述べています。

  • グローバルでのデジタルインフラの進歩と医療提供者、支払者、および患者の間での意識の高まり
  • 疾病負荷の増大と仮想ケアソリューション分野での絶え間ない技術進歩
  • 離れた場所から簡単にアクセスできる多数のWebベースの遠隔医療ソリューションが利用可能に
  • リアルタイム監視における遠隔医療アプリケーションと患者の健康記録へのシームレスなアクセスによって提供される利便性の向上
  • 北米が最大の市場:デジタルインフラ、スマホユーザー数、高い慢性疾患の患者、主要なプレーヤーの存在

バーチャルケアアプリケーションの普及。対面診察への依存度減少に

主要プレイヤーは、これらのバーチャルケアアプリケーションをユーザーに提供するために、ウェブベースおよびクラウドベースのプラットフォームを設計・開発しています。

例えば、2021年8月にTeladocとCVS Healthが提携し、CVS HealthのAetna Virtual Primary Careの運用を開始しています。

この提携により、CVS HealthはTeladocの医師ネットワークやプロバイダーを活用して、バーチャルケアプランやサービスを患者に提供することが可能になっています。遠隔地医療サービスは、離れている医療従事者と患者との間のコミュニケーションチャネルを電話やビデオによる診察を使く強化し、対面での診察や相談への依存度を減らすことができます。

米国におけるプライマリーケア医師の不足も牽引となっています。例えば、AAMC(Association of American Medical Colleges)の推計によると、プライマリーケアと専門家ケアの両方の医師が、2034年までに3万7,800人から12万4,000人不足するとされています。

導入コストも課題

遠隔医療は、遠隔地にいる患者に、デジタルでバーチャルな医療サービスを提供する、成長中の多目的なテクノロジーです。

このような高度なデジタル技術により、遠隔地の患者へのケアの提供が可能になり、救急外来の必要性が減り、入院率が大幅に低下し、市場の成長を促進しています。

しかし、データのプライバシーやサイバーセキュリティへの懸念、導入コストの高さが、市場の成長を妨げています。遠隔医療アプリケーションは、基本的な医療サービスへのアクセスを向上させ、質と安全性を高めることに重点を置いています。

進む技術革新

テレヘルスアプリケーションは、患者に適切なケアを提供し、有害事象や症状の見逃しを減らすことに成功しています。

インターネットや高度なヘルスケア分析、スマートなウェアラブルデバイス、インターネットやスマートフォンとの強力な接続性など、デジタルヘルスケア業界におけるイノベーションは、遠隔医療業界を大きく変え、シームレスな患者モニタリングや効率的な慢性疾患管理を提供しています。さらに、AIと機械学習アルゴリズムの融合により、ヘルスケアサービスのパーソナライゼーションが強化されています。

政府によるデジタルヘルス、バーチャルケアへの投資

米国政府によるデジタルヘルスやバーチャルケアへの大規模な投資も、市場の成長を後押しすると予想されています。また、米国では古くから医療サービスの遠隔提供が行われており、1960年にNASAが米国で遠隔医療を確立し、その発展に重要な役割を果たしてきました。現在、米国の約76%の病院が、何らかの形で遠隔医療を利用して患者の治療に貢献しています。

近年、バーチャルヘルスケアは、人々にタイムリーな治療と臨床評価を提供することで、健康の公平性を向上させる上で重要な役割を果たしています。2021年8月、バイデン政権は、米国保健社会福祉省(HHS)の保健資源サービス局(HRSA)を通じ、米国における遠隔医療サービスと農村部の健康を強化するために、1,900万米ドルを超える投資を行いました。

パンデミックの影響も後押し

COVID-19パンデミックでは、バーチャルな医療サービスの重要性が示され、医師不足に対処するため、米国での遠隔医療市場が急拡大しました。COVID-19の感染率の高さ、医療へのアクセスの困難さ、パンデミックにおける国家的緊急事態など、いくつかの条件により、米国では政府機関による投資が増加しています。

インフラの進歩と遠隔医療サービスへの需要の高まり、受信者数も増加

デジタルヘルスケアインフラの急速な進歩と相まって、遠隔医療サービスの需要が高まっていることが、今後数年間にわたってサービスセグメントを牽引すると予想されます。2021年は、サービスセグメントが、45.0%以上の収益シェアを獲得し、遠隔医療市場の大半を占めています。さらに、COVID-19感染症の急増、社会的な距離の保持、感染への不安などが、その成長を加速させています。患者の遠隔監視サービスは、患者と医師間のリアルタイムの対話を可能にし、手頃な価格で臨床結果を得ることができます。

米国では、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなどのデバイスへのアクセスが高く、インターネットへのアクセスも高いため、遠隔医療サービスの成長には有利に働きます。例えば、2020年10月に米国疾病対策予防センター(CDC)が発表した報告書によると、需要の増加と高い導入率により、2020年3月の遠隔医療の受診者数は2019年3月に比べて154%増加しています。[/vc_column_text][vc_column_text]

対象企業プロファイル

Koninklijke Philips N.V
GE Healthcare
Cerner Corporation
Siemens Healthineers
Medtronic
Teladoc Health Inc
American Well
MD Live
Doctor On Demand
Global Med

米国の遠隔医療の市場規模・市場シェア・市場動向の分析 (2022-2028年)
Telehealth Market Size, Share, & Trends Analysis Report 2022 – 2028
出版日: 2022年01月14日
発行: Grand View Research, Inc.
ページ情報: 英文 110 Pages
価格・ライセンス: USD 5,950 ~
販売代理店:グローバルインフォメーション株式会社
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