中国時代劇に変化?「清越坊の女たち」は“シスターフッド”をテーマにした新しいドラマ

話題のドラマ「清越坊の女たち〜当家主母〜」に登場するヒロイン沈翠喜と曽宝琴。性格も正反対で正妻と妾として対立する彼女たちが、宿敵からかけがえのない存在となっていく波乱万丈の展開とは?


清代の女性は自由に生きることを認められず家庭に縛られ、名節(名誉と操)を失うぐらいなら一族の恥とならぬように死を選ぶべきと教えられていました。しかし、本作のヒロイン2人はそんな因習に抗って何があっても自尊心を失わず生き抜くことを選びます。

また、沈翠喜は自分の技術を女子たちに教え、手に職を持てば女性でも自立して生きられると示していきます。こうした女性目線で現代に通じる価値観を力強く打ち出していくストーリーは、これまでの中国時代劇にはなかった新鮮な見どころ。

近年、世界的に流行している女性の連帯を意味する“シスターフッド”をテーマにした新しい中国時代劇といえます。

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本作にはヒロイン2人の他にも様々なタイプの女性たちが登場します。

沈翠喜の下で商売に励む林舒芳(りんじょほう)はこの時代に女性ながら大番頭を志すキャリア志向。同じく沈翠喜の侍女でも野心のない巧児(こうじ)は好きになった男性との結婚を叶えますが嫁ぎ先で苦労します。また、行院育ちの曽宝琴の侍女・如意(にょい)は世間の常識にとらわれずにありのままの自分を貫いた結果、最後に幸せを掴むことに。

一方で封建社会の規律に縛られたままの女性たちの姿も描かれ、女性の生き方について考えさせられる示唆に富んだエピソードの数々を堪能できます。


TEXT: 小酒真由子(フリーライター)

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