COCOA不具合「開発・運用体制不十分だった」 政府が報告書

 昨年11月に役割を終えたとして機能停止した、新型コロナウイルスの接触確認アプリ「COCOA」について、その開発や運用を検証する報告書をデジタル庁と厚生労働省が公表した。迅速な導入が優先され開発・運用体制が不十分で、かつ開発当初の管轄だった厚生労働省には人員と知見の不足があったと評価した。

「行動変容に一定の効果あった」

 政府が感染抑止の切り札として大々的にアピールし、国民に導入を求めた接触確認アプリ「COCOA」は、2020年6月の提供開始直後から不具合が相次ぎ、21年2月には、感染者と近接していたことを検知しても通知されないという、基本的な機能の不具合が数ヵ月放置されていたことが発覚し、大きな批判を浴びた。

 デジタル庁と厚生労働省は再発防止のため、開発や運用の実態について検証した報告書をこのほど公表した。報告書では、まず企画開発段階における必要な機能の企画・選定に関して「検討過程で関係者間での合意形成が不十分だった」とし、また「迅速な導入が優先されたため開発・保守運営などの体制整備が十分になされなかった」と明記。当初の所管であった厚生労働省が、新型コロナに関する他の対応で人員不足で、かつシステムの開発・運用に関する知見も不十分だったと指摘した。

 一方で、アプリで接触通知を受け取った人の7割強が「何らかの行動を取ろうと考えた」と答えたという調査結果も公表。「他人との接触を避ける行動を促す効果をもたらした」と、国民の行動変容に効果があったと評価した。

 今回の報告書に関して、河野デジタル大臣は定例会見で「アプリ活用に向けての政治のリーダーシップが欠如、あるいは弱かった」と見解を示した一方で「かなりの数がダウンロードされ、それなりに行動変容を促したという一定の効果はあった」と述べている。COCOAは昨年11月中旬の機能停止まで、のべ4128万回ダウンロードされたことが発表されている。

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