サマンサタバサが赤字に転落「コナカ」傘下での経営立て直しに暗雲

東京・有楽町の店舗

バッグやジュエリー、衣料品などを販売する店舗「サマンサタバサ」を展開するサマンサタバサジャパンリミテッド<7829>が赤字に転落する見通しとなった。

2023年2月期は4期ぶりに3億円強の営業黒字を見込んでいたが、2022年の年末商戦が振るわなかったことなどから、一転して20億円近い赤字に陥る。

同社は2020年に紳士服大手のコナカ<7494>の子会社となり、経営の立て直しに取り組んできたが、復活の道のりは依然として厳しそうだ。

当期損益は7期連続の赤字に

サマンサタバサは2023年2月15日に業績予想を見直し、それまで3億6000万円としていた営業損益を22億2000万円引き下げ、18億6000万円の赤字に修正した。経常損益は3億6100万円から16億2000万円の赤字に、当期損益は1億円から20億6000万円の赤字にそれぞれ引き下げた。

これによって営業損益、経常損益は4期連続の赤字に、当期損益は2017年2月期以降7期連続の赤字となる。

2022年の年末にファッション市況が減速した影響で、年末商戦が計画未達で終わったことが響いたほか、店舗施工費や商標権などの固定資産の減損損失約9億5000万円を計上したのも損益を圧迫した。

倉庫賃料の節減や広告宣伝費、販売促進費の計画見直しなどに取り組み、販売費および一般管理費を160億円から151億円に約9億円抑制したほか、名古屋市に保有している土地と建物を売却し売却益6億7900万円を計上する計画だが、赤字転落を防ぐことができなかった。

サマンサタバサジャパンリミテッドは2020年に、コナカの子会社であるシューズ・バッグ、服飾雑貨販売のフィットハウス(岐阜県可児市)と合併し、コナカの子会社となった。経営が悪化していたため2019年にコナカが約31%出資(筆頭株主)し、出店ノウハウの共有や商品供給、人材交流などの協業を進めていたが、親子になることで一層連携を強化し、財務基盤の安定と業績向上につなげることを狙った。

コナカの傘下に入り2年半ほどになるが、業績改善の効果はいまだ表れていない。同社では「2023年1月は商況に復調の兆しが見受けられ、足下の業績も順調に推移している」としており、2024年2月期の黒字化に向けて、再建の取り組み強化が求められそうだ。

文:M&A Online編集部

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