5位低迷で霞む3連覇への道… 西武・辻監督を悩ませる“ポスト秋山問題”

西武のコーリー・スパンジェンバーグ、辻発彦監督、金子侑司(左から)【写真:荒川祐史】

22歳・鈴木は18試合連続1番スタメンも1番での打率.222

西武は25日、本拠地・メットライフドームで行われた日本ハム戦に3-4で競り負け、今季2度目の4連敗を喫した。リーグ3連覇を狙う獅子は120試合制に短縮された今季、55試合を消化して借金7を抱え5位を低迷。4位・日本ハムに4.5ゲーム差、首位・ソフトバンクには8ゲームの大差をつけられる苦境だ。

長年1番打者として機能していた秋山翔吾外野手が、今季から米大リーグ・レッズに移籍。その後釜が今季のポイントとなることは、誰もが予想していた。辻発彦監督も「どう考えても、そこが鍵」と断言していたが、案の定、1番を固定できないことが低迷の要因になっているようだ。今季1番を務めたのは、コーリー・スパンジェンバーグ外野手、鈴木将平外野手、外崎修汰内野手、高木渉外野手、木村文紀外野手の5人に上る。

もともと、開幕前にリードオフマン候補として最も期待が高かったのは、盗塁王に2度輝いているスイッチヒッターの金子侑司外野手だった。しかし、開幕前の練習試合で34打数5安打、打率.147の不振。開幕1番には、練習試合で打率.481、4本塁打と爆発した新外国人スパンジェンバーグが座った。

しかし、助っ人は1番を務めた22試合で99打数24安打、打率.242と物足りない。代わって台頭したのが、プロ4年目・22歳の鈴木だった。7月10日からは18試合連続で1番スタメン。当初は3割5分を超える打率をマークするなど日の出の勢いだったが、本人が「秋山さんの後釜だとか、そんなにすぐにうまくいくとは思っていない」と話した通り、徐々に相手に研究され壁にぶつかった。現時点で1番に入った23試合の成績は、99打数24安打、打率.222に過ぎない。

育成出身20歳の高木は故障、木村は対左投手撃ちが課題となった

なんとも惜しまれるのは、育成選手出身で3年目・20歳の高木である。今月11日に1軍昇格を果たすと、13日から3試合連続で1番で先発し、14打数5安打、打率.357。14日の楽天戦では3安打猛打賞でお立ち台に上がったほど。ところが、故障で16日に1軍登録を抹消され、あっという間に姿を消した。

19日からは、14年目・31歳のベテラン木村が5試合連続で1番で出場。23打数8安打、打率.348とピカイチの結果を残した。しかし、左投手に対しては今季.321の高打率をマークしながら、右投手に.213とまるで別人になるのがネック。25日の日本ハム戦の相手先発は右の上沢で、6試合ぶりに左打者の鈴木が1番に入ったのだった。他に、本来クリーンアップの外崎が2試合務め、7打数1安打、打率.143に終わっている。

1番が定まらないせいか、2番を打つ源田も今季打率.236と絶不調。1、2番が出塁できないとなると、ポイントゲッターの森、山川、外崎は腕の振るいようがなく調子も出ない。昨季も1番を打った106試合で打率.315、出塁率.397をマークした秋山の偉大さを、改めて認識させられる展開となっている。

辻監督は25日の敗戦後、2回までに3点を失いながら、3回以降修正し6回まで追加点を許さなかった先発投手・高橋光について「序盤に3点も取られると、攻める方は打つしかなくなり、あとでこたえる」と苦言を呈した。しかし、たとえ5点ビハインドでも度々ひっくり返してみせたのが、一昨年、昨年の山賊打線であった。リーグ3連覇は遠のくばかりだが、新たな1番の成長を気長に待つしかないのだろうか。

【動画】西武は終盤に食らいつくもあと1点が遠く… 25日の西武対日本ハム戦ハイライト

【動画】西武は終盤に食らいつくもあと1点が遠く… 25日の西武対日本ハム戦ハイライト(視聴可能期間:2021年8月21日まで) signature

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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