漂着ごみ増に がくぜん 佐世保の女性 自宅周辺から清掃

海岸線の総延長が全国で2番目に長い長崎県。地元の美しい海を守ろうと多くの人が活動している=平戸市、人津久海水 浴場

 「陸と海はつながっています。小さな取り組みかもしれませんが、コツコツと続けていくことで海がきれいになっていけばいいなと思っています」。長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」に情報を寄せてくれた女性。見慣れた美しい景観に起きた「ある異変」がきっかけになり、自宅近くのごみを拾いを始めた。
 投稿したのは長崎県佐世保市に家族5人で暮らす辻真理さん(44)。夫の実家は平戸市大石脇町の人津久海水浴場で海の家を営んでいる。「とてもきれいな海」で毎夏訪れているが、漂着ごみの量が年を追うごとに増えていると感じた。
 その多さに「がくぜんとした」が、同時に「日ごろから何かできないか」と夫と考えた。コロナ禍で自宅近くを散歩する機会が増えると、周りのごみが気になった。「海をきれいにするには陸から」と、2020年春ごろから週に1、2回、自宅近くのごみ捨て場に行くついでに、途中の道に落ちているごみを拾い始めた。歩いて1、2分の近い距離だが、「必ず1個以上落ちています」。
 月に1回は少し範囲を広げ、子どもたちと一緒に自宅周辺を清掃している。「拾う経験をした子どもは捨てる人にはならないと思うんです」と辻さん。「小さな活動だけれど一人でも多くの人が取り組めば確実に減っていくのではないか」と話した。

 ナガサキポストで海の環境を守る取り組みを尋ねると、さまざまな声が寄せられた。長崎県民の熱心な取り組みは本紙を見ても分かる。過去1年間だけでも海の環境保護に関係する県内の記事は約50本。専門家は「世界は海でつながっている。身近な取り組みが地球の環境を守ることにもつながるということ」と評価する。
 国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴール(目標)の一つが「14・海の豊かさを守ろう」。3月17日は「みんなで考えるSDGsの日」。

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