若き変光星から放出されたジェットのうねり 超大型望遠鏡VLTで観測

こちらは変光星「オリオン座V2423星」(V2423 Ori、244-440とも)を捉えた画像です。ヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するチリのパラナル天文台にある「超大型望遠鏡(VLT)」の広視野面分光観測装置「MUSE」を使って取得されました。画像の色は赤が鉄、緑が窒素、青が酸素の分布に対応しています。

【▲ 超大型望遠鏡(VLT)の広視野面分光観測装置「MUSE」で捉えた「オリオン座V2423星」。色は赤が鉄、緑が窒素、青が酸素の分布に対応している(Credit: ESO/Kirwan et al.)】

ESOによると、誕生したばかりの星はらせん状に落下していく物質でできた円盤に囲まれていて、その一部は星に落下することなくジェットとして放出されることがあります。オリオン座V2423星からもジェットが放出されていて、画像ではマゼンタ色に見えています。この星は単一の星ではなく2つの星が互いに周回しているとみられており、星の公転運動とともに放出方向が変化することで、ジェットの形は直線状ではなくS字型をしています。

VLTのMUSEは特定の波長の光で観測したデータを複数同時に取得することができる観測装置です。元素はそれぞれ固有の波長の光(輝線)を放つため、MUSEを使用することで様々な元素の分布や移動の様子を調べることができるといいます。次の画像は先に掲載した画像とは一部異なる元素の分布を示したもので、色は赤がアルゴン、緑が水素、青が酸素に対応しています。

【▲ 超大型望遠鏡(VLT)の広視野面分光観測装置「MUSE」で捉えた「オリオン座V2423星」。色は赤がアルゴン、緑が水素、青が酸素の分布に対応している(Credit: ESO/Kirwan et al.)】

また、次の動画ではMUSEで観測したオリオン座V2423星のデータが波長の短いものから順に表示されています。それぞれの元素が放つ固有の波長の光を個別に捉えることで、元素ごとに異なる分布の様子を捉えられることがわかりやすく示されています。

【▲ 超大型望遠鏡(VLT)のMUSEによるオリオン座V2423星の観測データを波長ごとに示した動画】
(Credit: ESO/Kirwan et al./L. Calçada)

オリオン座V2423星の画像はESOの今週の一枚として、2023年4月17日付で公開されています。

Source

  • Image Credit: ESO/Kirwan et al., L. Calçada
  • ESO \- A stellar sprinkler

文/sorae編集部

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