G7後の「衆院解散カード」にらみ思惑 首相は慎重答弁、重要法案成立急ぐ

岸田文雄首相(資料写真)

 大型連休明けの9日、国会で論戦が再開された。岸田文雄首相は防衛財源確保の特別措置法案などの審議で衆参の2委員会に出席。立憲民主党など野党と対峙(たいじ)したが、波風を避ける慎重な答弁で通した。重要法案に早期成立のめどをつけ、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット、19~21日)の終了直後を視野に、「衆院解散カード」を握りたいとの思惑がにじんだ。

 衆院本会議で入管法改正案の採決が行われているのと同時刻、参院厚生労働委員会では一定収入のある75歳以上の公的医療保険料の段階的引き上げなどを盛り込んだ健康保険法などの改正案が審議された。

 立民の打越さく良氏は、法案でうたう「全世代対応型社会保障制度」を「そもそも社会保障は全世代が対象で『頭痛が痛い』と言っているようなものだ」と皮肉まじりに批判。「高齢者負担増隠しのネーミング。選挙目当てだ」とただしたほか、関連法を一括して審議する束ね法案を「野党が賛成できるものも紛れ込ませて争点を隠し、評決権を侵害している。費用負担の行方など必要な事項も示されていない」と指摘した。

 首相は「名称は『給付は高齢者、負担は現役世代が中心』との仕組みを変えていく意味で『選挙目当て』との指摘は当たらない」と反論。束ね法案については「審議の仕方は国会で判断いただく」、負担を巡っては「(関係する)審議会の判断だ」などとかわした。

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