ヴィニシウスへの人種差別でスペイン国家警察が3人を逮捕

写真:ヴィニシウスをめぐる人種差別の問題が大きな波紋を呼んでいる ©Getty Images

5月21日に行われたラ・リーガ第36節バレンシア vs レアル・マドリードの一戦で、レアル・マドリードのブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールがバレンシアのファンから人種差別的な発言を受けた件について、スペイン国家警察が3人を逮捕したという。スペイン『マルカ』紙の電子版が伝えている。

この試合では後半途中、ゴール裏に陣取るファンからヴィニシウスに対して人種差別的な発言が浴びせられ、これに激怒したヴィニシウスがスタンドに詰め寄るなどしたため、試合がおよそ10分間にわたって中断する事態に陥った。

『マルカ』紙によると、3人の逮捕はバレンシア州政府の代表者であるピラール・ベルナベ氏が明らかにしたもので、「不幸で非難すべき事件」が起きた瞬間から国家警察がスタジアム内外で撮影された映像を分析する作業を続けており、その過程で差別発言の当事者と確認された3人の身柄を拘束したという。

ベルナベ氏は「メスタージャ(バレンシアの本拠地)でこのような出来事が二度と起こらないよう、調査を継続するよう国家警察に求めている」とコメント。また、ラ・リーガとスペインサッカー連盟の両者が協力し、人種差別撲滅に向けたキャンペーンを実施するべく動き始めたことを明かしている。

また、ヴィニシウスはこの試合の後半アディショナルタイム、相手の遅延行為を巡って両チームが小競り合いを起こす中でFWウーゴ・ドゥロにひじ打ちを見舞ったとしてVARが介入し、オンフィールドレビューを経て退場処分が下された。

ただし、この場面を巡っては先にドゥロがヴィニシウスの後方から首に腕を回して締め上げており、VARはその場面を意図的に切り取ったうえでヴィニシウスがひじ打ちする映像を主審に提供したため、当該のVAR担当審判が解雇処分を受ける事態にもなっている。

今後、レアル・マドリード側が退場処分の撤回を求める可能性もあるが、ヴィニシウスは現状では次節のラージョ・バジェカーノ戦には出場できないため、現在はチームの全体練習には参加せず、ジムでのトレーニングを続けているという。

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