神奈川県内上場企業にも賃上げの波 各社の狙いは

 物価高騰を背景に、賃上げ率が30年ぶりの高水準となった2023年春闘。県内上場企業の決算会見でも、多くが賃上げを実施したと明かした。中には労働組合の要求に上乗せして回答したという企業や、業界トップレベルの賃金の実現に意欲を示す企業も。さまざまな業界で人手不足が深刻化する中、賃上げによって人材をつなぎ留めたいとの思いが垣間見える。

 「本年度は定期昇給(定昇)とベースアップ(ベア)で9346円、3.6%の昇給率。22年度実績(3584円、1.38%)から着実に上げている」。決算会見でそう語ったのは、丸全昭和運輸(横浜市中区)の櫻井充常務執行役員だ。国際物流の日新(同)も「定昇3~4%アップ」を実施。「人材投資に積極的に取り組み、従業員への持続的な還元を目指す」と力を込めた。

 資源高や円安などの影響で、食料品など幅広い物価が高騰。家計の負担が増す中、今年の春闘は大企業を中心に賃上げの動きが広がった。

 経団連が5月19日に発表した1回目の集計によると、定昇やベアを含む大企業の月給の賃上げ率は平均3.91%。前年の第1回集計と比べ1.64ポイント上昇した。回答額は1万3110円。賃上げ率が3%台後半で、引き上げ額が1万円を超えるのは、1993年以来30年ぶりという。

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