松山英樹の隠しブレードパター「クラフツマン」 その正体とは?

スクエアバック(撮影/服部謙二郎)

松山英樹の取材をしていて、いつも気になっていることがある。バッグには常に入っているのだが、なかなか試合では使ってもらえないパターがいるのだ。

その名も「クラフツマン(Craftsman)」。名前を聞いてピンときた方は、よっぽどのスコッティキャメロン・マニアだろう。パッと見はピン型パターだが、ヒールから湾曲していてトウ側がせり上がっている。フェースのミルド痕やヘッド上部の仕上げなどがとにかくカッコよくて、とても気になる存在なのだ。

クラフツマンというパターを調べてみると、実は10年前ぐらいから存在する。キャメロン氏による削り出しヘッドで、まさにその名の通り、「クラフトマン(職人)」が仕上げた完全オリジナルパターだ。

ヘッド4面(撮影/服部謙二郎)

スクエアバックとラウンドバックの2種がラインアップされ、さらにそれぞれマッスルバック形状とキャビティ形状があるらしいが、いまはどれも非常に希少。日本にどれだけ入ってきているか定かではないが、日本語でネット検索してみても情報は出てこない。ソールは重量調整や重量配分のために独特のカットが施されていて、「bullet sole」と呼ばれているとか。「bullet」とは銃弾、弾丸という意味がある。つまり弾丸のような形をした削りということか。

そのクラフツマン。練習グリーンでは、松山に何度か“打ってもらえる”のだが、試合になるとやはりロッカーにしまわれ、結局エースパター(もはやどれがエースかわからないが…)にいつも主役を奪われてしまう。決め手に欠けるのか、なかなか試合で使ってもらえない。レギュラーにはなれないけど、スタメンで使ってほしいスーパーサブ的な存在か。

ロゴがカッコいい(撮影/服部謙二郎)

実際に撮影させてもらったので、マジマジと観察してみる。上からの見た目はいわゆるブレードで、かつクランクネック。松山の持つエースのピンタイプと似ているが、トップブレードにドットがひとつ入り、バックフェースには「S.C.CRAFTED」の文字。モデルでいうと、スクエアバックのブレード形状なのだろう。そして、ソールを見てびっくり。ソールにあるバレットソールの穴を塗りつぶすかのようなマジックの書き込みがある。

おそらく松山本人が穴を埋めて(重りか何かで)、その上にマジックで書き込みをしているのではないかと推測できるが、その意図は定かではない。さりげなく入る“サークルT”のロゴは、まさに所有欲をくすぐる一本だ。

ソールの穴を埋めている(撮影/服部謙二郎)

思えば松山ほどのキャメロンマニアもいないが、彼ほどの選手でも「持っているだけで満足してしまう」、そんなヘッドなのだろう。(編集部・服部謙二郎)

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