横浜・杉田劇場のリコーダーグループ 老若男女、モットーは「とにかく楽しく」 84歳から始めたメンバーも

館長の中村さん(左)と副館長の堀さん=3日、杉田劇場

 横浜市磯子区の「杉田劇場」に、リコーダーの音色の響きと温かさに魅入られた老若男女が集うグループがある。毎年メンバーを入れ替えながら、美しいハーモニーで全国各地の人々を魅了するのが「杉劇リコーダーず」だ。今年もまた7月から新たなメンバーを迎え、心に響くメロディーを奏でる。

 「うちはいい意味でカオス(混沌(こんとん))。子どもから高齢の人まで、いろんな人がいるからこそ、この演奏ができるんですよ」。破顔するのは同劇場の館長中村牧さん(63)。2006年の立ち上げから活動を間近で見守ってきた。そこには、涙あり笑いありの思い出が数々ある。

 指を折り数えながら、中村さんはメンバーの一人一人の顔を思い浮かべる。不登校だった生徒や、84歳で一から始めた元歯科医、闘病中に聴いた演奏に胸を打たれて入団した女性─。

 それぞれが思いを胸に抱き、リコーダーを演奏しようと集まってきた。中村さんが「カオス」と表現するその輪には、世代を超えた地域の温かさがある。

 モットーは「私たちは大会を目指すような音楽隊ではない。とにかく楽しく、リコーダーを吹こう」。7月に集まる団員は、ほとんどが初心者。リコーダー界の伝道師と称される講師の吉澤実さんから指導を受け腕を上げる。中村さんは「高齢者が子どもに吹き方を教えたり、逆にうまくなった子どもに刺激を受けて熱が沸いたりする様子が楽しくて」と笑う。

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