ランドマークタワー開業30年 みなとみらい21地区のシンボル 進化続け累計来館8億5千万人

開業を1カ月後に控えた1993年6月の横浜ランドマークタワー。左はパシフィコ横浜

 横浜・みなとみらい21(MM21)地区のシンボルとして、長年愛され続けている「横浜ランドマークタワー」(横浜市西区)は16日、開業30周年を迎える。商業施設「ランドマークプラザ」の累計来館者数は8億5千万人弱と、着実に成長を遂げる一方、2020年からは新型コロナウイルス感染拡大に伴い、開業以来最大の打撃を受けた。横浜ランドマークタワーは今後、どのような変貌を遂げるのか-。30年の歩みをたどりながら、新たな“みなとみらい”のあり方を探った。

 6月中旬。「ぴあアリーナMM」(同)で2日間、タイで人気のアーティストのコンサートが開催された。開始時刻は夕方だが、周辺では昼間からにぎわいが絶えない。

 その理由は、タイフェスだ。近くにあるグランモール公園(同)で同期間中、「みなとみらいタイフェスティバル2023」が開催されていた。仕掛け人は、同地区で開発を進め、横浜ランドマークタワーも手がけた三菱地所(東京都)だった。同社アセットマネジメントの太田哲朗氏(45)は「ライブに合わせて開催すれば、来場者は2倍楽しめる。一方でわれわれは儲(もう)けが増えるのでウィンウィン(相互利益)」と語る。

 1965年、横浜市が「6大事業」の一つとして「都心部強化事業」を発表した。後に付けられた事業の名称は「みなとみらい21」。市は企業、商業・文化施設などを集積することで市民の就業やにぎわいの場を創出する都市像を描いた。

 着工は83年。同年には、三菱重工業(東京都)から造船所の跡地20ヘクタールを買い受けた三菱地所が、民間では最大の地権者として事業に参画。93年7月16日、民間第1号プロジェクトとして、横浜ランドマークタワーが開業した。

 地上70階建て、高さ296メートル。ホテル、オフィス、商業施設などで構成された大型複合ビルとして、MM21の変化を見守り続けてきた。同社によると、オフィス部分だけで約8千人が勤務する。入居中の企業にとって「職場がランドマーク」であることは採用活動で大きなメリットだとし、太田氏は「30年経ち、もはや誰でも知っているタワーとなった」と胸を張る。

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