平和へ「私の願い」 宝田明さんの遺志継ぎ加藤登紀子さん出演へ 9月に小田原で歌声

反戦を呼び掛ける「私の願い」のコンサートに出演する俳優の沢木順さん(右端)と井料瑠美さん(右から2人目)=小田原市内

 映画「ゴジラ」や青春映画で活躍した俳優宝田明さんの反戦への思いをつないだコンサート「私の願い」が9月、小田原三の丸ホール(神奈川県小田原市本町)で開かれる。昨年3月に亡くなった宝田さんが生前、平和の思いをつづった歌「私の願い」を俳優仲間や市民が宝田さん死後も歌い続け、今年は宝田さんと同じく終戦で旧満州(中国東北部)から引き揚げ経験のある歌手加藤登紀子さんも出演し、歌声から平和の大切さを訴える。

 少年時代を旧満州・ハルビンで過ごした宝田さんは終戦直後、旧ソ連の兵士に撃たれるなど過酷な体験をし、80歳を超えて自らの戦争体験を伝える朗読劇「宝田明物語」を執筆した。

 朗読劇の主題歌「私の願い」も自らが作詞。「戦争となれば人は憎しみが増していく それを拭い去ることはもうできない それを止めるのは私たちの一人一人の力」と反戦へのメッセージを込め、50年来の親交があった俳優の沢木順さんが作曲した。

 朗読劇は2015年から全国で公演され、小田原では19年に公演が行われた。宝田さんが22年に亡くなり、全国で公演が中止となる中、小田原では宝田さんの遺志をつなごうと、市民合唱団によるコンサートとして公演を続けた。

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