海の日のメッセージに総理「海洋放出」入れず

 岸田文雄総理は17日の「海の日」にあたり「総合的な海洋の安全保障と持続可能な海洋の構築を柱とした海洋基本計画(第4期)を4月に閣議決定したとしたうえで「防衛力や海上法執行能力の強化など必要な施策を推進すること等により、領海等における国益確保を図る」とのメッセージを出した。

 また「各国と連携し、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の維持・発展を図る。経済安全保障の観点から海洋資源の産業化・商業化の促進、自律型無人探査機(AUV)等の先端技術の育成と社会実装等に取組む」とした。

 岸田総理は脱炭素社会に向け「洋上風力発電の排他的経済水域への拡大に向けた法整備や国産化に向けた技術開発、CO2の回収・貯留(CCS)の事業開始に向けた環境整備等を推進する」とも強調。

 「適切な海洋保護区の設定等による海洋環境の保全や水産資源の適切な管理、極域を含めた全球観測の実施、北極域研究船の着実な建造等による科学的知見の充実等にも取組む」とした。

 一方で、海の日にちなむメッセージであるにもかかわらず、今夏に予定している東電福島第一原発事故で増え続ける放射性物質に汚染された水のALPS処理水の海洋放出に関してはメッセージに入れなかった。安全性と放出時に基準値を超えた場合に即時放出を止めるとのメッセージは入れるべきだったとの声もある。(編集担当:森高龍二)

© 株式会社エコノミックニュース