ドライバー不足解消へ輸送シェア 日野自動車など出資のNLJが仕組みづくり 異業種の荷物も混載 

大型トラック2.5台分の容量というダブル連結トラック=NLJ相模原センター

 日野自動車など20社が出資するネクスト・ロジスティクス・ジャパン(NLJ、東京都)が、「輸送シェアリング」の仕組みづくりを進めている。異業種の荷物を“混載”し、幹線道路を使って大量輸送。生産性を向上し、物流業界の課題であるドライバー不足を解消するのが狙いだ。トラック輸送の9割は“BtoB”の企業間物流。家庭に商品が届かないだけでなく、原料が運べず生産そのものができなくなることが危惧される中、同社の取り組みの現場を訪れた。

 「2024年問題だけではない」。同社が相模原センター(相模原市南区当麻)で行った報道関係者向けの説明会で、梅村幸生社長はこう強調した。

 国内の貨物輸送量(重量ベース)の約91%がトラック輸送。時間外労働時間を年間960時間とする上限規制が来春始まれば約14%の荷物が届かなくなるとの推計がある。だが、それは始まりに過ぎないという。

 かつてドライバーは「きついけれど稼げる仕事」だった。それが今は男性労働者の平均労働時間より2割長く働き、平均年収は2割低い。上限規制によって残業代が減り、賃金が上がらなければドライバー不足は加速し、30年には荷物の3分の1が運べなくなるとも推計される。

 そもそも960時間の月平均は80時間と過労死ラインで、いずれもっと規制が進む可能性が高い。

 そうした危機感からNLJは、日野自が2018年に設立。アサヒグループジャパン、日清食品ホールディングスなど大手企業が続々と出資に名乗り出た。出資しないまでも味の素や花王、富士フイルムなど計42の異業種企業がシェアリングに踏み出している。

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