「予想もしていなかった」W杯優勝も2週間後に解任…スペイン女子代表のビルダ元監督が心境を語る「理解できない」「不当だ」

[写真:Getty Images]

スペイン女子代表の監督を解任されたホルヘ・ビルダ氏が、心境を口にしている。

5日、スペインサッカー連盟(RFEF)は監督とスポーツ・ディレクター(SD)を務めていたビルダ氏の解任を発表した。

現役時代にバルセロナやラージョ、レアル・マドリーのカンテラに在籍経験があったビルダ氏。選手としてのキャリアに早々に見切りを付けると、若くして指導者に転身。2009年にU-17スペイン女子代表の監督に就任すると、U-19スペイン女子代表の指揮官を経て、2015年からスペイン女子代表の監督に就任した。

そして、国内リーグの隆盛を生かして着実にチーム力を上げると、オーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)では初優勝に導く手腕を発揮していた。SDとしては、U-17女子代表が2度W杯で優勝、U-20でも優勝、U-19とU-17では欧州選手権を2度ずつ優勝するなど、多くの成功を収めていた。

一方で、2022年7月には選手たちの不満が爆発。ベテランを中心に戦術やトレーニングなどビルダ監督の手腕に疑問を呈して解任を要求。同9月には15選手が招集をボイコットし、監督交代がなければ招集に応じられないという声明を発表していた。

そういった中で臨んだ女子W杯で優勝。しかし、そこから16日で解任。その裏には、選手へのキス問題が騒動となったルイス・ルビアレス会長の問題もあるとされ、RFEFが変化を求めた結果とされている。

スペイン『カデナ・セール』の番組「エル・ラルゲーロ(El Larguero)」に出演したビルダ氏は、自身の解任を「不当だ」と主張した。

「不公平だ。16日前に世界チャンピオンになり、10日前にさらに高額の報酬で5年間の更新を受けた。今日解雇されたが、不当だと思う」

「ペドロ・ロシャと副会長との短い会議だった。説明は『構造的な変化』に関するものだった」

「私は女子サッカー界で17年間働いてきて、全てを成し遂げた。一労働者として全力を尽くし、明確な良心がある。毎日100%の力を出してきたので、理解できない」

「自分の解雇が当然のことだとは思っていなかった」

「予想もしていなかった。違う考えを持っていた。人はいつも希望を持っている。私は自分がネーションズリーグに参加し、オリンピックの出場権を得たいという強さと意欲を持っていると思った」

また、キス問題で揺れるルビアレス会長が「辞任しない」と宣言した議会では、拍手を送る姿が見られ、これが大きな問題に。「合意である」という主張に賛同していると騒がれたが、そんな気はなかったとコメント。ただ、ルビアレス会長の女子サッカーへの投資は称えた。

「私は性差別的なものは決して称賛しない。その議会に何をしに行くのかはよく分かっていなかった。辞任するのだろうと思っていた。会長は仕事を評価しており、更新を発表した」

「私は4倍の予算を投じたルビアレス会長の女子サッカー運営を称賛する。あとは…周りで150人が拍手をしているのに、自分だけが拍手をしないというのは非常に難しい」

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