横浜銘菓「ハーバー」が来年70年、製造会社倒産からどう復活、人気の秘密は

横濱ハーバーへの思いを語る堀内社長=横浜市中区

 横浜銘菓の一つ、ありあけ(横浜市中区)の「横濱ハーバー」が来年、発売70周年を迎える。船をかたどったマロンケーキは横浜土産として定着。幅広い層に親しまれてきた。製造会社の倒産により一時は店頭から姿を消したハーバーだが、その後、どう復活を果たしたのか-。歴史を改めてひもとくとともに、人気の秘密を探った。

 横濱ハーバーは、薄く柔らかいカステラ生地に刻んだ栗を入れた自家製の餡(あん)を包み込んだ一品。パッケージに描かれた船のイラストが目印だ。種類も豊富に展開し、現在は1日に約3万5千個を製造している。

 有明製菓(現ありあけ)が1954年に発売した当時の名称は「ロマン」。その後、港町・横浜を連想させる「ハーバー」に変更した。70年代からは、テレビの普及に伴いCMを放送。「♪ありあけのハーバー」と印象に残るメロディーで知名度はたちまち向上、多い時には年間売上高が約60億円に上ったという。

 「当時は神奈川にとどまらず、千葉、埼玉と店舗を広げ、生菓子などハーバー以外の事業にも乗り出していた」と、ありあけの堀越隆宏社長は話す。

 しかし、1999年に有明製菓が倒産。ハーバーは一時、店頭から消えた。再び世に送り出すため、ありあけの藤木久三会長が当時経営していた洋菓子製造・卸会社が商標権を買い取り、ハーバー復活実行委員会を発足。カステラのしっとり感と、栗の風味や食感を出すまで何度も試作を重ねた。こだわった栗餡の中に刻んだマロンを加え、2001年春の復活に至った。

 「以前よりもおいしいハーバーにしようと、リニューアルして再販を目指したが、開発に半年以上かかった」(堀越社長)

 同年4月26日、横浜市中区の横浜松坂屋(当時)などで販売すると店頭には待ちわびた客が殺到し、1日で100万円以上の売り上げを記録した。「復活を喜ぶ声をたくさんもらった。これは閉ざしてはいけないと肌で感じた」。地元での販売を強化。商圏は横浜を中心とする神奈川県内に絞り、取り扱い店舗は、倒産前の2倍以上となる約500店に拡大させた。

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