【MLB】 アスレチックスの移転投票が11月に開催 オークランドの移転阻止運動は続く

写真:老朽化が進むコロシアム

オークランド・アスレチックスのラスベガスへの移転をメジャーリーグのオーナーたちが承認するかを決する投票が、11月中旬のオーナー会議中に開催されることが分かった。ラスベガスの地元紙「ラスベガス・レビュー・ジャーナル」が報じている。

長年新球場問題に悩まされてきたアスレチックスは、ついに今年の春にオークランドと袂を分かつことを決断。ラスベガス移転の動きを本格化させ、8月に移転申請書を提出していた。現在、その移転申請書はブルワーズのマーク・アタナシオオーナーを会長とし、複数のオーナーで組織される移転委員会に審査されており、それが終わるとロブ・マンフレッドコミッショナーを中心とする執行委員会にかけられる予定だ。そこをクリアして初めて11月中旬の投票へと移行する。

アスレチックスの移転案がオーナー会議の投票を通ることを確実視するメディアの向きは多い。もし本当に投票を通ることになれば、60年近い歴史を持つオークランド・アスレチックスは終焉し、アスレチックスはラスベガス・アスレチックスとして2028年開場予定の新球場で門出を迎えることになる。

オークランド側はこの移転に対して抗議を続けている。6月に行われ話題を呼んだ“リバース・ボイコット”以降も、ファンの抗議は止む気配がない。

昨冬にオークランド市長に就任し、ほとんどアスレチックス側と交渉する余地なく、移転を決められてしまったシェン・サオ市長も精力的に動いている。

サオ市長はオールスターブレーク中にシアトルに出向き、マンフレッドコミッショナーと面会、オーナー会議での投票に先立って、アスレチックスとオークランド市の交渉の仔細をまとめた報告書を提出した。投票権を持つオーナーたちに、マンフレッドコミッショナーやアスレチックスのジョン・フィッシャーオーナー側が主張していたこととは異なる事実を共有して、移転投票の可決を阻止するのが狙いだ。

さらに2024年限りで現本拠地オークランド・コロシアムのリース契約が切れることから、もしコロシアムとのリース契約を延長するならば、オークランドにエクスパンションチームが保証され、アスレチックスが移転してもアスレチックスというチーム名はそのエクスパンションチームのために残すことを条件とするかもしれないと明かしている。(『NBC ベイエリア』のインタビューで)

ラスベガスの新球場は最短でも2028年開場予定で、アスレチックスはそれまでの仮住まいを必要としている。デーブ・カバル球団社長は『ラスベガス・インディペンデント』に2024年以降のホームゲームを、今のコロシアムか、対岸ジャイアンツの本拠地オラクル・パーク、ラスベガスにあるアスレチックス傘下チームの球場で行うことを検討していると伝えている。

サオ市長とファンの活動の甲斐あってか、風向きは変わり始めているかもしれない。『USA Today』によれば、オークランドがエクスパンションの候補地となる可能性は高いという。とある高級幹部は、オークランドがオーナー陣と新球場建設用地を用意できれば、テネシー州ナッシュビルに加わってエクスパンション候補地のトップ2に入るだろうと語っている。

ラスベガス側としても、同じくオークランドから移転してきたNFLレイダースの人気低迷と比べて、エクスパンションで誕生したNHLゴールデンナイツは大人気となっている現実がある。不人気のアスレチックスが移転してくるよりも、新チーム誕生か、あるいは新しい名前のチームが生まれる方が成功の公算は大きいかもしれない。

オークランドが球団を失わず、ラスベガスも新しい球団を得る。これが最良の策にも思われるが如何に。

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