放置される〝危険な空き家〟一体何が 不安に駆られる周辺住民【長野】

今後増加が見込がまれる空き家に関する問題です。県内にある実質的な空き家は2018年時点で15万棟近くに上ります。こちらは立科町にある空き家は、住宅の2階の屋根が一部崩れ落ちて瓦が散乱しています。
隣接する住宅にも被害が及びかねず地元の住民は不安を抱えています。

土台の木材から崩れ落ちた屋根に、散乱した瓦。2階の壁にあたる部分はむき出しになっています。1階部分も歪み、いつ倒壊してもおかしくない状況です。立科町にある空き家です。

■地元区長・中島健男さん
「8月下旬昼間に大雨、夕立みたいのがあって、その日の夕方、夜中か、夜10時半頃ガタッと崩れた」

■隣の住民
「雷がドカンと落ちたような感じの音です。たぶんそこ(空き家)だろうなと思いました」
「迷惑とかそういうの通り越して恐怖です。怖いです」

女性とは別の隣接する住宅には、傾いた空き家の雨どいが接触しています。

■地元区長・中島健男さん
「実際に被害が出ているんだから、町が動いてくれればいいんだけど」

町の担当者は…

■立科町建設環境課・篠原英男課長
「この物件については(以前から)すでに把握しています。(8月の倒壊後も)職員が確認に行っております」

そもそも、町議会議員だった中島さんは3月の議会でこの「危険な空き家」問題を取り上げていました。

■両角正芳町長(議会の議事録より)
「あくまでも個人の所有者に関わる問題でございますので、その辺はご理解をたまわりたい」

■小平春幸副町長(議会の議事録より)
「町外在住の所有者へ担当者が訪問し、必要な措置を講ずるよう協議をいたしたところです」

空き家の適切な管理は、あくまで所有者の責任です。町は8月の損壊後も所有者に対応を依頼したといいます。
しかし、改善は見られず中島さんは「特定空き家」への指定を町に求めています。
段階をへて町による取り壊しも含めた「行政代執行」も可能になる手続きです。指定には町や警察、建築士団体などで作る協議会を開く必要がありますが1年以上開かれていません。

■地元区長・中島健男さん
「協議会を開いて特定空き家に認定できれば色々対応はできるんだけどね、このまま放っておくとそれこそ崩れるまで待つしかない」

特定空き家は倒壊の危険があったり著しく景観を損なうなどの条件がありますが、この空き家は該当するのでしょうか。

■立科町建設環境課・篠原英男課長
「法の(特定空き家の)定義には対応すると考えています。協議会の開催も視野に入れて今後進めていきたいと考えています」

ただ、3月に町議会で指摘され、8月に倒壊も起きながら協議会開催はいまだに正式には決まっていません。台風や地震の恐れにこれから迎える雪の季節。住民たちは一刻も早く、不安を解消する手だてを求めています。

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