コスト上昇分の価格転嫁率は4割止まり 神奈川の企業調査「客離れ懸念」「納品先が容認しない」

横浜空撮(資料写真)

 帝国データバンク横浜支店が神奈川県内企業を対象にまとめた価格転嫁の実態調査によると、仕入れコストが100円上昇した場合の販売価格への転嫁は平均41.6円だった。

 昨年12月の前回調査から4円増えたが、6割近くが企業側の負担で収益が圧迫されている構図が続いている。

 業種別の平均は小売りが58.7円、卸売りが52.1円と進展が目立つ一方、運輸・倉庫は25.5円、サービスは30.1円と低水準にとどまっている。

 価格転嫁の割合について尋ねたところ、全額が4.5%、8割以上が11.9%、5割以上8割未満が19.3%、2割以上5割未満が18.6%、2割未満が17.4%だった。

 全く転嫁できていない企業は14.7%で、企業から「客離れが懸念される」(旅館・ホテル)、「納品先が容認しない」(卸売り)といった悩みも漏れた。

 情報部の篠塚悟部長は「物価上昇に賃金の伸びが追いつかずに消費の低迷が懸念されるなか、いかにコスト上昇と価格転嫁のバランスを取るかが重要になる」と指摘する。

 7月に県内1295社に対して調査し、539社が回答した。

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