【秋華賞/危険な人気馬】トライアル好走の一角に“消し”判断 「春のクラシック対戦歴がないと分が悪い」

今週は牝馬三冠最終戦、第28回秋華賞(GI、芝2000m)が行われる。

今年は、春のクラシック二冠を制したリバティアイランドの1強ムード。史上7頭目の牝馬三冠となるか、大いに注目が集まる。これに待ったをかけるのが、オークス2着のハーパーや、前哨戦の紫苑Sを制したモリアーナ、古馬相手のクイーンSを制したドゥーラといった面々。果たして、最強牝馬にどこまで迫れるか。

そんな中、トライアルのローズSを制したマスクトディーヴァが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■三冠のかかる一戦で、ヒモ候補はクラシック出走馬

春はクラシック路線に乗れなかったマスクトディーヴァ。6月に1勝クラスを突破し、休み明けで迎えた前走ローズSは7番人気と低評価ながら、中団から鮮やかな末脚を発揮して差し切り勝ち。1分43秒0と驚異のJRAレコードを叩き出し、一躍、秋華賞でも注目を集める存在となった。

同日の阪神は、時計の出やすい高速馬場だったとはいえ、3歳秋の牝馬が出せる時計とは思えない数字。それに敬意は表したいが、ここから中3週で本番。超抜時計を叩き出した後だけに、その疲れが尾を引いていないか懸念材料が残る。

加えて、前走ローズS組は過去10年で【2.3.7.54】と、トライアルとしては紫苑Sの【3.4.0.38】と比べてやや見劣る数字。さらに近年は、過去3年が中京で行われたことも関係あるかもしれないが、2015年を最後に勝ち馬は輩出しておらず、本番とあまり結びつかなくなっている。

また、今年はリバティアイランドの三冠がかかる一戦となるわけだが、牝馬の三冠目が秋華賞となった96年以降、同様のケースは以下のように7例ある。

2003年 スティルインラブ(三冠)
2009年 ブエナビスタ(3着降着)
2010年 アパパネ(三冠)
2012年 ジェンティルドンナ(三冠)
2018年 アーモンドアイ(三冠)
2020年 デアリングタクト(三冠)
2022年 スターズオンアース(2着)

このうち、上記7頭を除く馬券圏内に入った14頭の内訳を見てみると、桜花賞とオークスに両方出走、もしくはいずれか一方に出走していた馬が11頭も占めていた。三冠を目指すライバルと春のクラシックで対戦歴のある馬が、秋華賞でも馬券圏内に入って健闘していたこととなる。

一方、三冠を目指すライバルと未対戦だった馬が馬券圏内に入ったのはわずか3頭で、いずれもこの秋華賞が重賞初挑戦と、無欲の激走がもたらした結果といえる。未対戦の馬に“未知の魅力を感じて”とはよく言われるが、実際は春のGIで対戦して揉まれた馬のほうに分があるのだろう。

今回はリバティアイランドが断然人気を集め、相手探しの一戦となることが濃厚。そんな中、上位人気勢の取捨を見極め、少点数で仕留めたいレースだ。マスクトディーヴァは好時計でトライアルを制し、女王と未対戦な分、ある程度上位人気を形成するだろう。しかし、過去の歴史からも未対戦組の成績は芳しくなく、近年不振のローズS組ということを考慮すると、バッサリ切りたい要素が多い。ここは思い切って「消し」でいきたい。

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著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。

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