「寺ビール」飲んでみて 横須賀「法龍山麦酒」が事業参入 「名水」を使い、寺院内で熟成

サーバーから「寺ビール」を注ぐ藤堂曜平さん=横須賀市久里浜

 1200年以上の歴史があるという神奈川県横須賀市野比の法龍山最光寺(藤堂啓住職)が母体となったビール醸造会社「法龍山麦酒」が設立され、クラフトビール事業に乗り出している。ビールには同市走水の「名水」を使い、一部商品は寺院内で熟成させている。同社は「『寺(じ)ビール』を楽しんでほしい」とPRしている。

 同社の醸造責任者を務めるのは、藤堂住職の三男で僧籍を持つ曜平さん(39)。専門学校で醸造や発酵技術を学び、酒好きが高じて、ワイナリーや日本酒の蔵元などに就職し、酒造りの腕を磨いた。

 「いつかは自分で酒造りをしたいと思っていたが、高額な初期投資が壁となっていた」という曜平さん。そんな中、島根県の小規模醸造所(マイクロブルワリー)「石見麦酒」が150万~200万円で販売する格安の醸造システムの存在を知り、参入を決意した。

 昨年3月に会社を設立。奈良時代の729年、行基上人に創建された由緒ある同寺の山号にちなんで、法龍山麦酒と名付けた。4月には京急線京急久里浜駅近くの商店街に工場兼店舗(同市久里浜)を設けて、ビール造りを始めた。

 フルーティーで味わいがすっきりとした「セゾン」、ホップの苦みと香りが特徴の「IPA」など定番4種のほか、ミカンやキウイなど旬の地場産果物を加えたフルーツビールも手がける。

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