長崎大水害の土木遺産を3D化 長崎大生2人が歴史を後世へ 11日に発表会

土木遺産の3Dデータ化に取り組んだ冨山さん(左)と竹内さん=長崎市文教町、長崎大

 長崎の地で起きた土砂災害や河川氾濫の歴史を忘れてはいけない-。299人もの死者・行方不明者を出した1982年7月23日の長崎大水害。復興に関わる土木遺産を後世に伝えようと、長崎大工学部1年の竹内寛之さん(19)と冨山翔さん(19)がデジタル技術を活用し、被災した眼鏡橋と、水害後に治水機能が加わった本河内低部ダムの3Dデータ化に取り組んだ。
 産官学連携で取り組む同学部の授業「創成プロジェクト」の一環。2人は、大水害で氾濫した中島川にまつわる復興事業をまとめ、土木遺産を3Dデータ化。河川改修で導入した両岸のバイパス水路の内部撮影も実施し、サイトでデータと映像を紹介している。

3Dデータ化した眼鏡橋(上)本河内低部ダム

 指導する高橋和雄名誉教授(78)は「災害は繰り返して起きるため、長崎大水害を知らない世代にも伝えていく必要がある」と意義を強調。竹内さんは「データを自由に動かして、いろんな角度から見てほしい。土木遺産に興味がない人にも、少しでも興味を持ってもらいたい」という。
 大水害後の洪水対策として利水、治水の両機能を兼ね備えた本河内低部ダム。ドローン撮影を用いて3Dデータ化を図り、立ち入り禁止場所も見ることができるようにした。冨山さんは「ダムは普段の生活で目に付きづらく、日常会話にもあまり出てこないと思うが、大水害を受けて、まちを守るために存在していると知ってほしい」と話した。
 創成プロジェクトの成果発表会は11日午後1時から、同大総合教育研究棟で開かれる。

© 株式会社長崎新聞社