【MLB】最大25アウト分!?実は重要だった「投手の盗塁阻止」がついに可視化

写真:コービン・キャロル(Dバックス)は過去50年で最高の走塁貢献を残した

MLB公式は日本時間11日、「投手による進塁阻止貢献」を得点化したデータをデータサイト「Baseball Savant」にて公開した。

その内容についてMLB公式のライター/アナリストのマイク・ペトリエロがレポートしている。

これまで走塁について(かなり)無関心だったように思えたMLBが、このような指標を公開するに至ったのは今シーズン前のルール変更が影響していたようだ。

ピッチクロックの導入と牽制回数の制限、ベースサイズの拡大によってランナーが大きく有利となった今季、ロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)やコービン・キャロル(Dバックス)らが走塁面で素晴らしい貢献を残した。

アクーニャJr.の73盗塁は、2000年代ではホセ・レイエス(メッツ)に次ぐ2位の記録。また、Fangraphsによればキャロルは走塁で平均に比べ15.8点分得点を増やしたとされており、これは過去50年間で最高の傑出度だ。

近年は長打力に注目が集まり、ほとんど重視されることがなかった走塁の重要性が大きく高まったのが今季であり、それゆえにMLBは「捕手の阻止能力よりも重要」とされてきた投手の進塁阻止貢献の可視化に踏み切ったようだ。

ペトリエロによれば、今回可視化したのは一塁から二塁への盗塁阻止に関していくつアウトを増やしたか(減らしたか)。大まかな計算過程は以下のとおりだ。

まず、走者の走塁能力や状況から推定された盗塁成功率を推定する。次に、走者の状況をもとに投手の盗塁やボーク、牽制などによる盗塁および進塁阻止を合算する。ただし、この際に捕手および投手のプレーを確認した上で、どちらどの程度責任があるかなどは確認しているようだ(たとえば捕手がボールをこぼした場合には投手の責任は0となる)。

この結果をもとにすると、過去2年間で最も進塁阻止によってアウトを増やしたのはデビッド・ピーターソン(メッツ)の14個、最もアウトを減らしたのはノア・シンダーガードの−26個だという。

2023年だけで見ると、最もアウトを増やしたのはディラン・シーズ(ホワイトソックス)の10個、減らしたのはシンダーガードの-15個。1シーズンで最大25アウト分の差がついていることになる。

これを多いと見るか少ないと見るかは人によるが、同じくMLBが公開している「野手が守備で増やしたアウトの個数」を示すOAAは最高がタイロ・エストラーダ(ジャイアンツ)とダンズビー・スワンソン(カブス)の20アウト分、最低がカイル・シュワーバー(フィリーズ)の-19アウト分だ。

フル出場すれば1000イニングになる野手に対して、投手の出場イニングは高々200イニング程度。決して無視できない要素であることは間違いない。

ルール面で大きな改革が行われた今季、各チームの戦略、特に走塁面にはかなりの変化が見られた。投手の進塁阻止が可視化されたことで、各チームはどのような動きを見せてくるだろうか。答え合わせは来シーズンを待とう。

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