[社説]大谷2度目MVP 未到の偉業たたえたい

 誰も足を踏み入れたことがない場所へ、また一歩、階段を上った。

 米大リーグの大谷翔平選手が、アメリカン・リーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた。2021年に続き2年ぶり、2度目の選出である。

 投票者全員から1位票を獲得する満票での2度の受賞はメジャー史上初の快挙だ。

 「投打のバランスがすごく良く、より高いレベルでこなせた」と本人が振り返るように、大谷選手は今季も、投打「二刀流」で目覚ましい活躍を見せた。

 打者としては、44本塁打を放って日本人初の本塁打王に輝き、打率3割4厘、95打点をマークした。

 投手としても10勝5敗、防御率3.14、167奪三振の好成績を残した。

 シーズン終盤に右肘手術などで離脱したものの、史上初となる2年連続での「2桁勝利、2桁本塁打」の記録を球史に刻んだ。

 MVPはレギュラーシーズンの成績を対象に全米野球記者協会員30人の投票で決まる。満票での受賞は全米に実力が認められた証左だ。

 野球の本場でアジア人選手の存在感を示し、誇らしい。

 今年3月、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本を優勝に導いた活躍も記憶に新しい。

 大谷選手の活躍は、人々を明るくし、勇気づけてくれる。

 二刀流という前人未到の挑戦を続けるヒーローに最大級の賛辞を贈りたい。

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 海の向こうからのビッグニュースに日本中が沸いている。

 「人間としても野球人としてもリスペクトしかない」と称賛する声や、子どものいる親からは「息子にもスポーツをやってほしい」という声が上がった。

 大谷選手の実績は努力に裏打ちされたものだ。

 193センチの恵まれた体をトレーニングで徹底的に鍛え、最新機器を駆使して、弱点克服に取り組んだ。

 ストイックに野球に打ち込む姿は私たちの胸を打つ。子どもたちの模範となり、目標となる。

 大谷選手はつい先日、日本国内の全小学校約2万校に三つずつ、計約6万個の子ども用グラブを寄贈すると発表した。「子どもたちが野球というスポーツに触れ、興味を持つきっかけになってほしい」との思いがこもる。

 グラブを受け取った子の中から、大谷選手に続くスターが誕生するのが楽しみだ。

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 今季終了後、大谷選手はエンゼルスから、どの球団とも移籍交渉ができるフリーエージェント(FA)になった。激しい争奪戦が展開されており、契約は史上最高額に達するとも予想される。

 気になるのがけがだ。今年9月に野球人生で2度目の右肘手術を終えた。本人は「1回目よりもすごくスムーズに来ている感覚はある」と語り、順調な回復をうかがわせる。

 「長く活躍を見たい」というのがファンの思い。けがをしっかり治し、新たなステージで活躍する姿を見せてほしい。

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