東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」のグリーン車で「京都イノダコーヒ」が飲める キーコーヒー提案して採用 その決め手は?

キーコーヒーの「京都イノダコーヒ」が東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」の新・車内サービスで飲める――。

東海旅客鉄道(JR東海)は10月31日、新幹線開業以来60年近く続いてきた「のぞみ」「ひかり」の全号車での車内ワゴン販売に幕を下ろした一方、グリーン車や11号車多目的室に新しい形態のサービスを導入した。

11月1日、グリーン車ではモバイルオーダーサービスを開始。各座席に設置されたQRコードで乗客のスマートフォンなどからフードやドリンクを注文するとパーサーが商品を届けてくれる。

モバイルオーダーサービスで注文できる「京都イノダコーヒ」のホットコーヒー

同サービスのコーヒーに選ばれたのが「京都イノダコーヒ」。ホットとアイスを取り揃える。価格はともに税込400円。

採用された要因について、11月14日決算説明会に臨んだキーコーヒーの柴田裕社長は、営業力の強化を挙げる。

「業務用市場の取り組みの1つに営業力強化を掲げており、コーヒーインストラクターを育成している。これにより全国各地でコーヒーセミナーを開催するなど様々な提案ができている」と語る。

一方、採用したJR東海リテイリング・プラスは「複数の候補のなかでも沿線の京都で80年以上の歴史を持つイノダコーヒ監修のコーヒーはグリーン車にふさわしい上質感と品質を備えている点が決め手となった。お客様に京都の雰囲気を感じていただきたい」とコメントを寄せる。

「京都イノダコーヒ」のカップを持つ柴田裕社長

全号車での車内ワゴン販売終了の背景には、車内への飲食品の持込み増加による売上減少ほか、人手不足で販売員の確保が難しくなっていることがある。

キーコーヒーは今後、幅広く人手不足にも対応していく構えだ。

「人手不足が新幹線のみならずホテルでもレストランでも問題となっている。人手不足にもきちんと対応していけるような提案をしていかなくてはいけない」と柴田社長は意欲をのぞかせる。

キーコーヒーは2021年、京都市内を中心に喫茶店「イノダコーヒ」を運営するイノダコーヒ(本社・京都市)と業務提携契約に向けた基本合意書を締結し、同年9月から全国のスーパーや量販店などで「京都イノダコーヒ」を販売している。
家庭用のラインナップを段階的に拡充し現在は業務用でも展開している。

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