東京Vを昇格に導くゴール決めた染野唯月、「ヴェルディをJ1に上げたかった。そのためにここに来た…」

殊勲の土壇場PK弾で東京Vを昇格に導いた染野唯月[写真:©超ワールドサッカー]

東京ヴェルディを昇格に導く大きなゴールを決めたFW染野唯月が、清水エスパルスとの激闘を振り返った。
【動画】後半ATに見事にPKを獲得し、落ち着いて決めた染野唯月

東京Vは2日、国立競技場で行われた清水との2023J1昇格プレーオフ決勝を制し、16年ぶりのJ1昇格を決めた。

今シーズンの明治安田生命J2リーグを3位フィニッシュした東京Vは、昇格プレーオフでジェフユナイテッド千葉を2-1で破り、ジュビロ磐田に敗れた2018シーズンのJ1参入プレーオフ決定戦以来の決勝へ駒を進めた。

5万3264人の観客を集めたレギュラーシーズン4位の清水とのオリジナル10対決では、ゴールレスで折り返した後半序盤にMF森田晃樹のハンドで与えたPKをFWチアゴ・サンタナに決められて先制を許す。しかし、8分が加えられた後半アディショナルタイムの96分に染野がDF高橋祐治に倒されて得たPKを自ら決め切り、土壇場で同点に追いつく。そして、このまま1-1で試合をクローズした東京Vはリーグ上位のアドバンテージによって悲願のJ1復帰を成し遂げた。

チームを昇格に導く値千金のゴールを決めた染野は、「点を決められてホッとしていますし、あの場面で蹴れたことがよかった。コースがよかったのかなと思います」と、殊勲のPK弾を振り返った。

また、「ファウルも自分が取ったので自分が蹴ろうと思って蹴りました」と、昇格という大きな責任が伴うPKキッカーは自ら志願してのものだったことを明かしている。

染野にとって国立は今年7月に行われたヴェルディ再デビュー戦となったFC町田ゼルビア戦で2ゴールを決めた相性の良いスタジアム。戦前にも良いイメージがあると語っていたなかでの再びのゴールについては「自分は本当に良いイメージで試合に臨めましたし、それで点を取ることができたのは自分にとっても良い仕事ができたと思います」と、自身の果たした役割に満足感を示した。

今回の劇的ゴールはクラブをJ1に導くゴールとなっただけでなく、ピッチ内外で良い関係を築く森田を救う重要な一撃にもなった。

今季から新キャプテンに任命され、大きな重圧を背負っていた1歳上の生え抜きMFの苦労をすぐそばで見守ってきた染野は「本当にいろんな責任を背負ってきましたし、いろんな想いがあったと思います。それは自分たちが一番理解していたので、J1に連れていくことができて本当によかったです」と、自身のもうひとつの重要な仕事を誇った。

鹿島アントラーズから2シーズン連続の育成型期限付き移籍で今夏加入し、予てよりヴェルディでの昇格に並々ならぬ覚悟を示してきた染野。

その悲願達成に「自分はヴェルディをJ1に上げたかった。そのために来たので、それを成し遂げることができてよかったです」と、安堵の様子も見せた。

最後に、今回の大舞台でのゴールは染野の今後のキャリアにおいても大きな意味を持つものかに思われるが、野心的な22歳FWは「このゴールは通過点。これからもどんどんゴールを決められればと考えています」と、さらなる飛躍を誓っている。

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