「永遠の故郷生き続ける」 端島閉山50年 長崎でセレモニー 元島民らが歩み振り返る  

「端島炭坑」の閉山50年記念セレモニーで古里への思いを語る中村さん(左端)ら元島民=長崎市松が枝町、軍艦島デジタルミュージアム

 世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つ、長崎市の「端島炭坑」(軍艦島)が1974年に閉山してから50年を迎えた15日、同市内で記念セレモニーがあり、元島民が思いを語った。
 端島は明治初期に開発が始まり、良質な海底炭鉱として発展。日本の産業近代化をけん引した。1916年に完成した日本最古の鉄筋コンクリート造アパート「30号棟」をはじめ、高層住宅群を形成。戦後の最盛期には5千人以上が暮らし、周囲1.2キロほどの小さな島は世界一の人口密度を誇った。
 同市の軍艦島デジタルミュージアムが開いたセレモニーには元島民ら約100人が出席。端島の歩みを振り返る映像を流したほか、講演や元島民6人によるトークなどがあった。
 父親が端島の炭鉱長だった、産業遺産情報センター(東京)ガイドの中村陽一さん(85)=東京都調布市=が講演。明治期の1890年から閉山までの84年間で約1570万トンを出炭し、いち早く坑内に電力を導入するなど「日本の産業近代化、産業基盤の確立に非常に貢献した」と歴史的な意義を強調した。
 閉山時の労働組合幹部の言葉を引用し「端島に住んだ一人一人の心の中に、永遠の故郷として端島は生き続ける」と締めくくった。
 端島では2009年に上陸ツアーが始まり、15年の世界遺産登録も追い風に、昨年末までに累計約224万8千人が上陸した。

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