国の重要有形民俗文化財指定へ「佐野の天明鋳物生産用具及び製品」1556点

国の文化審議会が19日開かれ、佐野市の伝統工芸品「天明鋳物」や生産するための用具を、重要有形民俗文化財として指定するよう、文部科学大臣に答申しました。

答申されたのは「佐野の天明鋳物生産用具及び製品」1556点です。「天明鋳物」は、平安時代の武将・藤原秀郷が河内国(現在の大阪府)から鋳物師を佐野に呼び寄せ、兵器類などを作らせたのが始まりと伝えられています。佐野市の伝統工芸品で、灯篭や梵鐘、鳥居をはじめ茶器や花瓶といった生活用品まで、さまざまな用途に用いられていて、その歴史は千年とも言われています。

佐野市教育委員会文化財課の永倉 大朗主査は、「佐野市が誇る郷土の宝。国によってその価値が認められて嬉しい」と喜びを語りました。また、永倉さんは「佐野の鋳物師による「天明鋳物」の生産活動の実態を伝える資料群で、鋳型の製作に用いられたかたが充実していて、様々な注文に応じていた佐野の鋳物師の技術の高さが伝わったのではないか」とも話しました。

重要有形民俗文化財として指定されれば全国で227件目、佐野市で国の指定を受けるのは2014年の「唐沢山城跡」以来、6件目です。

佐野市や地元の商工会議所は「天明鋳物振興協議会」を立ち上げるなどして、天明鋳物の商標権侵害を防ぎ、ブランド力を高めることを目指して2021年12月に特許庁に商標登録を出願、2023年1月には「天明鋳物」が特許庁により商標登録されました。

これに加え、今回文化庁に「生産用具」も国の指定を受ける見込みということで、佐野市は「産業・文化」の両面からブランド力の強化と鋳物文化の継承につなげていきたいということです。今後、企画展などを通じて多くの人にお披露目したいと考えているということです。

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