M&A仲介協会が入会説明会を開催、約500人の参加者に加入呼びかけ

M&A仲介協会の荒井邦彦理事長(ストライク社長)

M&A仲介業自主規制団体のM&A仲介協会(代表理事・荒井邦彦ストライク社長)は1月23日、都内で新規会員を募る入会説明会を開催した。行き過ぎた営業行為が報告される現状を踏まえ、同協会が果たすべき使命や、それを是正するための業界自主規制ルールなどを説明、同協会の活動を広く浸透させるべく、オンラインを含め参加した約500人に加入を呼びかけた。

M&A仲介協会の取り組み

M&A仲介協会は2021年10月、日本M&Aセンターホールディングス、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、オンデック、名南M&Aの上場5社で設立。M&A市場の急激な拡大に伴い、十分な経験・ノウハウを持たない仲介業者の参入が懸念され、M&A仲介業の健全な発展を目指すために発足した。

2023年12月にはM&A仲介業の職業倫理を定めた「倫理規程」ほか、中小企業庁とも連携した「業界自主規制ルール(コンプライアンス規程、広告・営業規程、契約重要事項説明規程)」を発表し、中小M&Aガイドラインを含む適正な取引ルールの徹底を図ってきた。

オンライン含め約500人が参加

中小企業が安心してM&Aを活用できる環境整備を

この日、登壇した荒井代表理事は、M&Aが中小企業の経営課題を解決する手段として広く認識されはじめた一方、度重なる電話営業などをはじめ、業界が信用を失う営業行為が多数報告されていると説明。「業界が信用されなくなるという強い危機感を抱いている」と話した。そのうえで、「中小企業が安心してM&Aを活用できる環境を作ることがM&A仲介協会の使命」と述べた。

さらに、これまでの同協会の活動について振り返りつつ、加入メリットについても説明。M&Aに特化したスクールの受講サポートが受けられることや会員向けに開発された専用保険「M&Aアドバイザリー業務賠償責任保険制度」が利用できること、税制改正での意見書提出などの広範な取り組みについて紹介、最後に「ここにいるみなさんと一緒に、M&A仲介業を通じて、中小企業の存続と発展に貢献していきたい」と訴えた。

M&A仲介協会をスキル研鑽の場に

説明会では出席した理事からもあいさつが述べられた。中村悟理事(M&Aキャピタルパートナーズ社長)は、M&A仲介業の営業行為を見聞きして「(法規制によらない)自主規制が最後砦だと思っている」と強い危機感を露わにししたうえで、加盟社を増やしともに活動することで「周りから信頼される評価の高い業界にしていきたい」と述べた。

篠田康人理事(名南M&A社長)も「自主規制ルールでブレーキをかけるべきステージに入った。業界の健全な発展のための自主規制であり、皆様にも入会いただき、一緒に業界の発展に携わっていただきたい」とあいさつした。

久保良介理事(オンデック社長)はM&A仲介業のサービスの付加価値の観点から「品質にもこだわって声をあげていきたい」と述べた。「加盟会員がさまざまな知識・技術、事例を持ちより、M&A仲介協会がスキルを研鑽しあえる場にしたい」と述べた。

M&A仲介協会に入会するには

M&A仲介協会の会員区分や会費、加入方法についても説明が行われた。会員は3つに区分され、正会員はM&A仲介業を営む事業者で金融機関以外が「正会員(仲介会員)」、銀行・信用金庫などの金融機関が「正会員(金融会員)」に分かれ、協会の趣旨に賛同する事業者・個人は「協賛会員」となる。

M&A仲介協会資料より

入会金と年会費は新規加入の増加を図り、2024年4月から改定。正会員(仲介会員)と正会員(金融会員)の入会金、年会費はそれぞれ「M&A支援業務専従者の従業員数×2万円」で計算され、協賛会員の入会金、年会費が各10万円となる。M&A支援業務専従者の従業員数は、中小企業庁の支援機関登録制度における専従者が該当し、2024年4月に新規加入する場合は2023年12月末のM&A支援業務専従者の数が基準になるという。

入会にあたっては、2月末までに必要書類を事務局に提出、3月12日に理事会で入会審査が行われ、4月末までに入会金・年会費を支払う。

文:M&A Online

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